【あらすじ】
普通に仕事して、そつなく人付き合いもこなす26歳の女子・村崎ワカコ。そんな彼女は酒をこよなく愛する呑んべえで、今日も旨い酒と肴を求めて店ののれんをくぐる。そんなワカコの充実した“ひとり呑みライフ”を観察する日常系ショートドラマである。
【みどころ】
徳間書店の「月刊コミックゼノン」掲載作で、以前から漫画ファンの間では“女性版『孤独のグルメ』”として高い評価を受けていた。実写ドラマ化が今年発表され、放送は2015年1月からBSジャパン初の連続ドラマとしてスタート予定。ワカコ役を“空手使いの女優”として知られる武田梨奈さんが務めるキャスティングも話題だ。
よく比較される『孤独のグルメ』に似て、ワカコも一人で店に入って飲食するエピソードが非常に多い。ただし本家(?)の主人公と違ってワカコは酒飲みだし、友人たちと食事を楽しむシーンもしばしば見られる。親公認の彼氏もいるらしく、実は意外に孤独ではないのだ。
さて、1話(およそ6ページ)の大半を占める飲食のシーンについて見てみよう。基本の流れは、1ページ目からさっそく店へ入ってお目当ての品を注文。「アスパラの串揚げにはビール」「あったかい日本酒にはあさりの酒蒸し」など、きっちり酒と肴のコーディネートに気を配るのが好印象だ。それを食べながら美味さをモノローグで語り、やがて「ぷしゅー」と独特の吐息で幸福感をアピール。満足げな表情のまま最終ページを迎える。『孤独のグルメ』とは違い、注文を間違えたり、行きたかった店が潰れていたり、横暴な店長と格闘戦になったり(!)といったトラブルは皆無と言って良い。お決まりのパターンで1話完結する“まったり感”を重視したグルメ道楽漫画なのだ。
絵柄はやや独特だが決して嫌味はなく、お酒が飲める年齢であれば老若男女をとわず誰にでもオススメできる。こちらで試し読みも可能なので、ちょっと気になった人は読んでみてほしい。
【作品情報】
・作者:新久千映
・出版社:徳間書店
・刊行状況:3巻まで(続刊)