【あらすじ】
妄想が具現化する「妄想燐寸(もうそうマッチ)」を配る、謎の少女リン。モテたい少年や、ヒーローになりたいお子ちゃま、人の心を覗きたい少女などの前に、リンは不意に現れる。各々に秘められた妄想は具現化し、使用者を虜にするが……?そして「ただし本製品は『妄想用』であり、『願望用』ではございません」という注意書きに込められた意味とは?!取り扱い注意のマッチ、いりませんか──?
【みどころ】
火が点いている間に思ったこと、つまり「妄想」を具現化できる「妄想マッチ」を配るリンが愛らしくてミステリアス。「妄想は少々過大表現ですが、レトロ調でオシャレですよ」という言葉とともに、妄想を持つ老若男女にマッチを渡す。
モテたい、ヒーローになりたい、人の心の中を覗きたい、あの頃に戻りたい、人生を楽しみたい、今の生活から休みたいという者が紡ぐ、6つの物語。
モテたい少年は、確かに「地球上すべての女にモテるエンペラー」になるが……結末は悲惨なものだ。ヒーローになりたい中二病の少年も、結局は悪人の揚げ足を取ることだったと気づくが、その時にはもう──。人の気持ちを知りたいと願う少女は、言葉の裏を見ることを知るが、果たして自分への評価は……?あの頃に戻りたいと願った少年が選んだ選択肢は、果たして彼女のためになっていたのだろうか。人生を楽しみたい青年は、不幸自慢には事欠かないのに超ポジティブ。最後はリンの助手に?!休みたいアイドルが選んだ最後の選択肢は、衝撃的なものだった──!?
どの物語も、短いながらに起承転結があり、オチも劇的だ。ブラックな要素たっぷりなのに、そのアンティークな絵柄がオシャレ感を醸し出しているのかも知れない。誰にでも眠る妄想、今度はあなたの元にリンが訪れるかも知れない?!あなたならどんな「妄想」を『妄想少女』からもらいますか?
【作品データ】
・作者:鈴木小波
・出版社:角川書店
・刊行状況:1巻〜(以下続刊)