ほのぼの、ハラハラ!『子供はわかってあげない』でひと夏の自由を満喫!

子供はわかってあげない(下) (モーニング KC)【あらすじ】
水泳部のサクタさんと、書道部のもじくんは、ある日学校の屋上でひょんなことから知り合った。なと二人ともアニメオタクで、サクタさんはオープン派、もじくんは隠し派。そんなサクタさんは幸せな家庭環境だけれど、実は本当のお父さんがどこかにいる女の子。夏休みの水泳部の合宿を利用して、本当のお父さんに会いに行こうと、もじくんのお姉さんになっちゃったお兄さん(探偵)に頼んで、お父さんの居場所を探してもらうことに。そしてお兄さんの元に転がり込んできた、ちょっとハードボイルドな事件は、サクタさんともじくんを巻き込んでいく。ほんのり甘く切なく、わりと元気なひと夏の冒険が始まる!

【みどころ】
絵柄には好みがあるかも知れないが、ほのぼの系が好きな人にはおすすめな雰囲気。だけど内容は意外にハードボイルド。もじくんが屋上で怪我しちゃったのを、サクタさんが小銭を握りしめてパンチしちゃったからという理由にしちゃったり、血田くんこと千田くんの悪ぶりながらもいい奴だったり、もじくんのお兄さんがお姉さんになっちゃって家を追い出されてたり。

そんな中で、サクタさんは不思議な宗教の御札を見つけて、「これはきっとお父さんの手掛かりだ」と読む。奇しくもビンゴだったのだけれど、これで物語は大きく動く。お父さんはその宗教の教祖様で、教団のお金を持って逃げちゃったというのだ。そんな大きな難題を、なんちゃって探偵のもじくんのお兄さんのところに持ってきた教団がアヤシイ……?

ともかく、サクタさんはもじくんのお兄さんに探してもらった本当のお父さんに会う代わりに、他のバイトを頼まれることになる。人の心が読めちゃう、サクタさんの本当のお父さん。そう聞いたら、自分のヨコシマな心が読まれているのでは?!と考えて、サクタさんは必死に空回り。近所の女の子、じんこちゃんに泳ぎを教えてあげたりしながら、短い夏休みを本当のお父さんの元で過ごすのだけれど……。

ほのぼの絵なのに、内容は結構葛藤アリ、恋愛アリ、家族愛アリの『子供はわかってあげない』。このタイトルが何を意味するのかは、読み終える頃には実感できるはず。サクタさんともじくんのほんのりラブもかわいらしく、サクタさんとお母さんとのやり取りも笑えて泣ける。ひと夏の冒険ができるなら、こんな経験してみたいかも?!

【作品データ】
・作者:田島列島
・出版社:講談社
・刊行状況:全2巻(上下巻)