女装男子と男前女子の痛快ラブコメディ『うそつきリリィ』

うそつきリリィ 16 (マーガレットコミックス)【あらすじ】
早乙女ひなたは、イケメンの篠原苑に告白され、付き合うことになる。初めての彼氏に喜ぶひなただったが、苑は、女の子が大好きかつ筋金入りの男嫌い。鏡に映った自分の姿すら許せず、女装姿で通学を続けているという女装男子だった…
【みどころ】
女性同士の恋愛は「百合」と称されています。そして、女子と女子が親しくよりそう絵が非常に多いが、実のところは、片方は男子。ということで、この作品は嘘の百合(リリィ)、つまり『うそつきリリィ』です。

主人公・ひなたの彼氏である苑は男嫌いが行き過ぎて、女装男子になってしまった男の子。ひなたはそれを知ったとき、一度は恋をあきらめようとしますが、すぐに苑が好きだという自分の気持ちに気がついて、女装男子と恋をすることを決意します。

と、あらすじだけを見れば、ある意味、とてもへヴィーな恋をしているひなたですが、この作品は、基本的にはライトタッチのコメディ。二人のドタバタな恋は笑いあり、涙ありで読ませる人を楽しませてくれます。

もちろん、女装男子との恋に、ひなたが悩まないわけではありません。デートに出かけていくと、待っているのはオシャレ女子。いざキスをしようとすると、前にいるのはかわいい女子。そして、ある種問題なのが、女装をした苑の乙女チックなかわいらしさ。

どちらかというとさっぱりして男前なタイプのひなたは、ときに、思い知らされます。
「明らかに苑のほうが女子力が高い」と。
女装男子を好きになってしまったため、こんな余計な悩みまで抱えてしまうひなた。ある意味気の毒です。

しかし、それでもひなたはめげません。苑を好きという気持ちのままに、苑をリードし、また、自らが苑を守ろうとし…その姿は、ある意味非常に男前。そんなひなただからこそ、苑も彼女が大好きで夢中なようです。

男子が「女装」ではありますが、基本的にはきわめて健康的で快活なカップルであるひなたと苑。カラッとした二人の恋は見ていて気持ちがいい。色々と複雑な事情も悩みもあるけれど、それでも、いつでもお互いを好きで、愛情が揺らぐことないひなた&苑です。

昨年、完結したこの作品ですが、最初から最後まで肩ひじ張らず楽しく、しかし、きっちりと読ませるところは読ませるエンターテイメント性に優れたラブ・コメディ。「マーガレット」誌面で非常に楽しませてもらいました。

ちなみに、女子のためにフォローしておきますと、女装をしていないときの苑は超イケメンです。なので、いわゆる「百合(うそだけど)」的なシーンばかりではなく、きちんと、恋する男女のいい感じの場面も多々登場しますので、そこはご安心ください(笑)。

【作品データ】
・作者:小村あゆみ
・出版社:集英社
・刊行状況:16巻(続巻)