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原作者も登壇! 『パーマネント野ばら』試写会レポート

 「ずっと好き」はどこにもないから、
 私は毎日、小さな嘘をつく――

原作・西原理恵子、監督・吉田大八、そして菅野美穂が8年ぶりの主演ということで話題の映画『パーマネント野ばら』が5月22日から公開される。それに先立つ3月25日、豪華ゲストを招いた完成披露試写会が開かれた。

今回はそのイベントの様子と、別日に記者が見てきた試写のレビューをお伝えする。
(※記事中はすべて敬称略)


■完成披露試写会イベント

3月25日に東京・有楽町で催された完成披露試写会には、まず吉田監督、菅野美穂、池脇千鶴、小池栄子が壇上へ登場。集まった大勢のファンを湧かせた。

全員の簡単なあいさつに加え、ゲスト陣による撮影中のエピソードも披露された。ロケ地となった高知の“食”について楽しそうにガールズトークを繰り広げる女優三人、“全然食事には呼ばれませんでした…”と呟いて笑いをとる吉田監督など、終始なごやかなムードで舞台あいさつは進んでいった。

今年主演したドラマ『曲げられない女』にちなんで、本作の主人公はどんな女か?と司会者に聞かれた菅野が「せつない恋を秘めた女」と答えたのは聞いていて印象的だった(この答えの意味は映画本編を見ればわかるようになっている)。

さらに、この後はスペシャルゲストとして原作者の西原理恵子も登場。監督とキャスト陣に花束を贈呈した。映画の感想を聞かれ「今回の(映像化)が一番うれしかったです」「今回は『漫画を描いてて良かったなぁ』と思った作品です」「二回(試写を)見たんですけど、二回とも泣いちゃって…」などコメントを述べ、監督はじめ制作陣に惜しみない賛辞を送った。

スタッフ・キャスト・原作者ともに互いへの信頼と感謝が伝わってくる、そんな試写会イベントであった。

■映画『パーマネント野ばら』レビュー

娘を連れてふるさとの村に出戻ったなおこ。その母が営む、村にひとつのパーマ屋さんは、女のザンゲ室。そこでは女たちが、恋にまつわる小さな嘘を日々告白している。男に裏切られても、泣いて笑ってたくましく。おとなの女の恋心を描く感動の物語。
新潮社ホームページの作品紹介から引用)

上記で引用したのは原作コミックのストーリーだが、映画版もこれに準拠している。菅野美穂が演じるのは主人公・なおこ。その恋人役として江口洋介、母親には夏木マリ、友人として池脇千鶴と小池栄子、ほかにも実力派が揃うキャスティングだ。

ストーリー序盤から中盤にかけては、若い女からオバチャンたちまで多彩な恋模様が描かれる。基本的に本作は男性キャラクターの大半が「ダメ男」で、女たちも暴力を振るわれたり苦労しっぱなし。だけど「どんな恋でもしないよりましやん…」と新しい恋へ向かっていく彼女らには、一種の爽やかさというか神々しさすら感じる。

実のところ記者は原作コミックを未読で試写に行ったのだが、予想以上に“西原理恵子らしい”描写で驚いた。残酷だけどやさしい、ドロドロだけど透明な――そんなサイバラワールドを実写で表現しきっている力量はすばらしい。小池栄子扮する友人・みっちゃんが両手に魚を持って登場したシーンなどは「ああ、原作だったら絶対こんな描き方してるだろうな」と漫画のコマが(もちろん西原理恵子の絵で)脳裏に浮かんだほどだ。

そして終盤のラスト直前。主人公としてはさほど目立たなかったなおこが秘めた“小さな嘘”が明らかにされる。これは原作をまだ読んでいない人であれば、大いに衝撃を受けるはずだ。まず「そんなバカな!」と驚き、それから全編にわたって散りばめられた伏線の存在にも気づくだろう。すべてが終わったエンディングでは「やっぱり主人公は誰でもない、なおこだったんだな」と素直に思えるはず。

どうしようもない男に苦労しながら恋をやめられない女たち――そんな雑多ともいえるテーマを扱いながら、全編を通してみると洗練されたコース料理を味わったような気持ちにさせられる、不思議な魅力の映画だった。

サイバラファンで原作を読んだ人も、いや、むしろ原作を知らない人にこそ強くオススメしたい作品である。