近ごろ「ご当地」というキーワードを耳にすることが増えてきた。全国大会まで開催されるご当地グルメ、知識欲をかきたてるご当地検定、緩さとかわいさが人気のご当地キャラクターなどなど……。
それらに加え、さすが漫画大国ニッポンといえるのが特定の土地・地域を舞台にした“ご当地漫画”である。
たとえば『クレヨンしんちゃん』は舞台となる埼玉県春日部市で公式イメージキャラクターに任命。なんと主人公一家は住民登録もされている。また、人気漫画・ライトノベルの舞台にはたくさんの若者ファンが訪れることも珍しくない(いわゆる聖地巡礼ブーム)。
そんな中、ある意味“究極のご当地漫画”ともいえる『コミックいわて』が今年登場した。その名の通りフィーチャーされたのは岩手県。岩手県庁が全面的にバックアップしており、発案が達増 拓也(たっそ たくや)知事、責任編集も知事が務め、発行が地元の岩手日報社、岩手出身の漫画家が岩手を題材にした作品を描き下ろすという、まさに“岩手づくし”な一冊だ。
知事からのラブコールに応じた作家陣も豪華。『ときめきトゥナイト』の池野恋、『伝染るんです。』の吉田戦車、『パパと踊ろう』の地下沢中也といったビッグネームが並ぶ。総勢10名によって描かれた短編漫画は、ギャグ・ラブコメ・日常・ファンタジーまで実に多彩だ。ストーリー中に岩手県の名所や故事をうまく盛り込みつつ、きちんと漫画として楽しめるようになっているのが好印象。このままシリーズ化してもおもしろいのではなかろうか。
岩手県はみずから漫画ファンだという達増知事のもと『コミックいわて』発行をはじめ、漫画を通じて県政への理解を深めてもらったり、独自に漫画賞を催すなど、一連の「いわてマンガプロジェクト」に力を入れている。まだ全国的にみれば先進的すぎる試みかもしれないが、もともと絵とストーリーの両面で表現できる漫画は印象に残りやすく、地元おこしと相性が良さそうだ。
漫画パワーで地元の魅力を全国、そして世界へ……こうした“お役所主導”であれば歓迎である。今後の広がりを大いに期待したい。
【追記】
3月11日の東北地方太平洋沖地震で、被災された皆様にはお見舞いを申し上げます。
このたび紹介させていただいた「コミックいわて」の第3版の売り上げの一部は、災害義援金に充てらえるとのことです。宜しくご理解の上、ご協力をお願いいたします。
【関連URL】
・岩手県庁 「コミックいわて」の出版について
http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?cd=29541
・岩手県庁 「いわてマンガプロジェクト」
http://www.pref.iwate.jp/list.rbz?nd=4108&ik=3&pnp=58&pnp=226&pnp=4108

