マンガ大賞2011ノミネート『3月のライオン』レビュー

3月のライオン 5 (ジェッツコミックス)

■あらすじ
主人公、桐山零(きりやま れい)は、若くして将棋のプロ棋士になった逸材。交通事故で家族を亡くし身近な縁者は少なく、養子になった師匠の家でも軋轢を生むなど、私生活は上手くいっていない。しかし川本あかり、ひなた、モモの3姉妹と出会い影響を受けることで、彼の心情に変化が起こってくる。

■みどころ
将棋界を描いた漫画も増えてきたが、勝負第一の世界を描きながらも、人間関係や心情を深く刻み込んだ作品。同じ将棋漫画の『月下の棋士』『ハチワンダイバー』ほど派手な演出は無いものの、引き込まれる読者は多い。将棋漫画と言うよりは、将棋界を中心とした人間ドラマの面が強い。

またプロ棋士八段の先崎学が監修についていることもあってか、将棋の内容はしっかりしたものになっている。将棋の棋士の環境なども分かりやすく描いてあり、将棋ファンでなくとも理解に困ることはないはず。一部に漫画オリジナルの将棋界の設定もあるが、将棋ファンにとって読み進める妨げにはならないだろう。

白泉社のヤングアニマルで不定期連載中。ヤングアニマル自体も月2回刊行なので、漫画の進行は遅れがちである。特に桐山零の変化が顕著に現れてきたところなので、じれったくなる気持ちが強い。現在は、次女ひなたの学校でのいじめ問題に、零が関わらざるを得ない状況になってきた。零自身も、通っている高校では馴染んでいないだけに、この事件を通じて彼にどのような変化が生まれるだろうか。

■受賞予測
マンガ大賞には2009年にもノミネート。その時は『ちはやふる』(末次由紀)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)に続いて3位だった。今回も上位ランクインの可能性が大きいが、大賞受賞はどうだろうか。
将棋界や棋士達を淡々と描きつつ、主人公の桐山零が次第に成長しているところは好感が持たれると思うものの、羽海野ファン以外を強烈に引きつけるものがあるとは思いにくい。どこか間延びしてしまった展開に読者が付いていけるかどうか。『旬(受賞時期)は過ぎたのではないか』と感じた。

■作品情報
作者: 羽海野チカ
出版社: 白泉社
掲載誌: ヤングアニマル
既刊数: 5巻(続巻)

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