新装版 switch 1巻 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

麻薬取締部が活躍の『switch』が新装版で帰ってきた!

新装版 switch 1巻 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス) 【あらすじ】
関東信越厚生局麻薬取締部、通称「麻取(まとり)」。新人捜査官の衛藤快(えとう・かい)は、倉林春(くらばやし・はる)とパートナーを組んで、時には見の危険をさらしながら、日夜犯罪者たちを追い詰めていた。やがて一度は日本から撤退したはずの中国の密売組織「龍玄」の影が、ハルの前をちらつき始める。捜査を進めるうちに浮かび上がって来たのは「swich」という単語。それは16年前、ハルの両親たちが関係する事件に関わった、幻のドラッグの名前だった──!?

【みどころ】
単行本で13巻という長編だけに、登場人物が多いのが特徴。カイやハルが所属する捜査第一課だけでなく、アクの強いメンバーが集まる捜査第二課。そして少数精鋭で回している情報課や、捜査課から独立して中立な立場で薬物を判断する薬物鑑定課。他にも横浜分室や警視庁の面々が出てきたりと、初めはややこしく感じるかも知れない。しかし、読む進めていくうちに、それぞれキャラの立った登場人物に惹かれていくことだろう。

情報課の威武(いぶ)や三好(みよし)、第二課の朝倉や警視庁の成田との掛け合いは、見ていて楽しい。鑑定課の葛井(くずい)の「小さくてかわいいもの好き」ゆえのカイへの恋愛感情など、ダークなストーリーの中にも、ほっと一息つける回もある。第一課の若部長、比企(ひき)の笑顔の裏の敏腕さとあざとさにも笑えるし、時に頼もしい。

ハルとカイの過去には一体何があったのか、龍玄とは一体どんな組織なのか、「もう一人のカイ」の秘密とは──?どの事件も最終的には龍玄やハルたちにつながり、物語は統合されていく伏線も見ものだ。好きなキャラクターが必ず見つかる魅力的な描き分けにも注目したい。ラストの切ないシーンは、そのまま続編の「ドラゴンフルーツ編」に持ち越されるので、まずは新装版で再登場した『switch』をじっくり隅々まで読んでみたい。カイを役立たず呼ばわりしながらも、危険な場面では身体を張って守るハルに涙するだろう。

【作品データ】
・作者:naked ape

・出版社:一迅社

・刊行状況:全7巻(新装版)