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『三月のライオン』大賞受賞! 第18回「手塚治虫文化賞」贈呈式レポート

 手塚プロダクション代表、手塚眞氏も登壇。

今年、例年に勝る盛り上がりを見せた「第18回 手塚治虫文化賞」。5月30日に朝日新聞本社浜離宮ホールにて贈呈式が行われた。

日本に数いるマンガ家の羨望を集めるこの賞で、今年大賞に選ばれたのは羽海野チカの『三月のライオン』(白泉社)。新生賞には今日マチ子の『みつあみの神様』(集英社)など4作品、短編賞は施川ユウキの『オンノジ』(秋田書店)など3作品が選ばれた。そして、該当作品なしとされることも多い特別賞には藤子不二雄Ⓐの『まんが道』(中央公論新社など)『愛…しりそめし頃に…』(小学館)が選ばれ、小山宙哉の『宇宙兄弟』(講談社)が今年初めて設立された読者賞(一般の方からインターネット投票で選ばれる)を受賞した。

大賞にノミネートされた10作品と一次選考の結果は以下の通り。なお、大賞は下記上位10作品の中から最終選考委員会の審議によって選ばれる。

1.『3月のライオン』羽海野チカ/11点
2.『銀の匙 Silver Spoon』荒川弘/10点
3.『羊の木』原作:山上たつひこ 作画:いがらしみきお/6点
4.『I【アイ】』いがらしみきお/5点
 『愛…しりそめし頃に…』藤子不二雄(A)/5点
『失恋ショコラティエ』水城せとな/5点
『進撃の巨人』諫山創/5点
『どうぶつの国』雷句誠/5点
『町でうわさの天狗の子』岩本ナオ/5点
『みつあみの神様』今日マチ子/5点

【選考委員】
あさのあつこ(作家)、竹宮惠子(マンガ・京都精華大学学長)、中条省平(学習院大学文学部教授)、永井豪(マンガ家)、中野晴行(マンガ編集者)、ブルボン小林(コラムニスト)、ジャクリーヌ・ベルント(東京精華大学マンガ学部教授)、ヤマダトモコ(マンガ研究者)

贈呈式では、まずベージュのシフォンドレスに包まれた大賞受賞者の羽海野チカが登壇。『鉄腕アトム』の主人公・アトムのブロンズ像を授与されると、「今日この場に立たせていただけたことがとても嬉しいです」と感慨深げに口を開いた。初めて買ったマンガが手塚原作の『リボンの騎士』だったという羽海野。「ドレスも動物も本当に可愛くて、マネてたくさん描きました」と手塚マンガへの並々ならぬ思いを語った。そして、スピーチの最後に「小さい頃、どうしても人の輪に入れない子どもでした。でもマンガはいつも側にいてくれました。今度は私がそういう子たちの側にいられるようなマンガを描けたらいいなと思います」と笑顔を見せて舞台を降りた。

次に登壇したのは、新生賞の今日マチ子――ではなく、代理の女優・青柳いづみ。今日原作の舞台『cocoon』でも主演を務めたことから、今日は青柳を自分の分身のような気がしているという。挨拶を求められると青柳氏は「こんにちは。今日マチ子です」と第一声。続いて「今回、この青柳いづみの身体を今日マチ子と呼んでくださいと朝日新聞社さまにお願いしたところ、『嘘はいけない』とたしなめられてしまいました。嘘はいけない。でも私は嘘が好き。漫画を描くということは、あらゆる嘘を自在に渡り歩くことです」と今日氏の言葉を静かに語った。最後に「手塚治虫という虫つきのペンネームが本当の名前をこえて現実に君臨しているように、私も嘘を掘り続けて“本当”に届くことができるよう、これからも描き続けていきたいと思います」と締めくくり、最後まで不思議な空気感の中で今日マチ子の言葉を会場に届けた。

 短編賞を受賞した施川ユウキは緊張した面持ちで「(受賞できたことが)未だに現実感がなく、何かの手違いでしたと後で言われるのではないかとドキドキしています」と言い、会場に笑いを生んだ。そして「マンガ家人生の中で最上の栄誉となりました」と心底嬉しそうに言葉を締めくくった。そして特別賞の発表がされると、会場の隅々から盛大な拍手が起こった。藤子不二雄(A)は挨拶の中で、手塚治虫あってこそのマンガ人生だったことを明かし、「僕は今年で満80歳のたいへんなジイさんで、そろそろリタイアして田舎暮らしをしようと思っていましたが、今回こんな賞をもらったので少しパワーアップしてもうちょっと頑張ってみようかなと思っております」と力強く宣言。ファンにとってこれほど嬉しい言葉は他になかったことだろう。

最後の登壇者は、特別賞『宇宙兄弟』の小山宙哉(※上掲の写真)。投票をした読者の代表2人から花束が贈られると、「『宇宙兄弟』は現在23巻まで刊行されている長い作品ですが、まだ読者の皆さまに評価され、選んでいただけたことをすごく嬉しく思います」とコメント。続いて、アニメ映画作成中のためマンガが描けないことがつらいと言い、「そう思うのは2度目で、1度目はサッカーで右手首を骨折した時。その時は完治してからのほうが骨折前より絵がうまくなっていたので、今回も新たな力が肉付けされているのではないかと思っています。復帰したら、読者の皆さんの期待を裏切らないようなマンガをガンガン描いていきます」と喜びと決意を言葉にした。

トキワ荘の秘話満載!【特別賞】記念対談「藤子不二雄(A)×永井豪」に続く

【関連URL】
・「手塚治虫文化賞」公式サイト
http://www.asahi.com/shimbun/award/tezuka/