人情と金銭のバランスを問う『オケラのつばさ』

4月1日より実施された5%から8%への消費税アップ。日用品を買いにスーパーマーケットに出向けば、以前より小銭を使う機会が多くなった。個人的には「増税後変わったことは何か?」と問われれば、小銭の使い方を考え直すようになったと答えている。

今回紹介する『オケラのつばさ』の作者は、『高校アフロ田中』など4部に渡る田中シリーズで人気を博したのりつけ雅春。同作は松田翔太主演で2012年に劇場公開されたことでも注目を集めた。『アフロ田中』は、主人公である田中がニートから成長していく人間模様が面白おかしく描かれており、シュールで反社会的なギャグ漫画として2013年に惜しまれながら連載終了した。そんな中、次作としてのりつけ雅春が送り出したのが『オケラのつばさ』である。

金無し・高校中退というダメ人間である田中が主人公であった前作に対して、本作の主人公はお金大好き・イケメン・女好きの三拍子が揃った絵に描いたような俗物。ある日親の莫大な遺産が入り、キャバクラで豪遊した帰りに交通事故にあい命を落とす。そこで神様に遭遇し、何とか延命するが、その神様はなんと貧乏神。一生お金が使えないという生活を余儀なくされる。当然お金好きの主人公は、反発するのだが……。

お金を使えない生活は想像以上に厳しいもので、生き方を180度変え“人情”に頼って生きていく姿を写しだし、コミカルに日本社会に疑問を投げかけている。冒頭でも述べたが、増税後小銭の使い方にナーバスになった。たかが10円、されど10円。恥ずかしながらおつりを受け取る際、無造作にポケットに小銭を入れ、無くしたことは一度や二度ではない。毎週月曜日に本作を読む度に、そんな自分のルーズさを改めようと努めようと意識するようにしている。

【作品データ】
出版社:小学館
作者:のりつけ雅春
刊行状況:1巻まで

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