恋愛遺伝子XX 2巻 (IDコミックス 百合姫コミックス)

百合だけどハッピーエンド!『恋愛遺伝子XX』完結!

恋愛遺伝子XX 2巻 (IDコミックス 百合姫コミックス) 【あらすじ】
西暦2122年、人類最後の男性が死亡した。そして女だけになった世界は、男役と女役に分ける「EDEN計画」が発動される──。そして時は流れ2160年。政府直属の教育機関である「キングダム」に遅れて入学してきた古城アオイ(こしろ・あおい)は、男役「ADAM」トップの九重サクラ(ここのえ・さくら)と出会う。しかし母を亡くした背景の過去から、誰とも慣れ合うつもりはないというアオイ。しかしアオイはサクラと会う度に胸の焦りを感じる。この気持ちは一体……?

【みどころ】
「コミック百合姫」に連載されていた、宝塚風の学園モノ百合漫画。作画の蔵王大志は、「つだみきよ」名義でも活動している。原作の影木栄貴は、元内閣総理大臣、竹下登氏の孫にあたり、有名バンド「BREAKERZ」のボーカル、DAIGOは弟にあたる。

作者の経歴は無視しても、この作品は百合漫画としては非常によくできていて、王道と言えば王道だが、奥深い。女性を「ADAM」と「EVE」に分け、学園内で婚約者を決めて結婚させることになる。しかしやはり女同士でも人間、決められた婚約者以外を好きになることもある。しかし「ADAM」同士、「EVE」同士の恋愛はご法度。アオイとサクラは「ADAM」同士……と、切ない関係が続く。アオイの過去も明らかになり、「エトワール」と呼ばれるトップ5を忌み嫌う理由も深刻だ。

アオイの恋心は友情という形に置き換えられ、一旦の解決をはかるのだが、サクラの婚約者が現れてから再びアオイの胸はざわめき始める。これが恋だと、誰が教えられるだろう?2巻では急展開し、サクラの姉まで登場する。このアオイとの掛け合いが面白い。他にもエトワールたちは個性的で、積極的に婚約者の「EVE」と恋愛を楽しむ風景も楽しめる。

蔵王大志の美麗な絵柄は美しく、時に官能的だ。しかし物語は非常にプラトニックで、周囲をハラハラさせるアオイとサクラには、和まされる部分もある。ブサイクなにゃんこ、「オスカル」を愛でるサクラも間抜けでかわいらしい。ここには単なる百合要素だけでなく、人を愛する気持ちが深く描かれている。

【作品データ】
・作者:原作/影木栄貴 作画/蔵王大志

・出版社:一迅社

・刊行状況:全2巻

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