魔法少女の系譜、前回に続いて東映の特撮番組になります。『好き!すき!!魔女先生』です。
第1回『魔法少女ララベル』はこちら
第2回『魔法の天使クリィミーマミ』はこちら
第3回『魔法の妖精ペルシャ』はこちら
第4回『魔法のスターマジカルエミ』はこちら
第5回『5年3組魔法組』はこちら
【作品紹介】
月ひかるは、「かぐや姫先生」の愛称で親しまれる東西学園の女教師。しかし、その正体は宇宙連合アンドロメダ星雲支部直属の平和監視員にしてアルファ星の王女。事件が起きると「ムーンライト・パワー」のかけごえとともに月のパワーが宿った「ムーンライトリング」の力で超能力を使い、子供たちのピンチを救って大活躍!
【みどころ】
*美しい魔女先生・月ひかる
別世界のプリンセスが人間界にやってきて、魔法の力で大活躍。 昔からの魔法少女者ものの大定番を特撮の世界で実現させたのが、この『好き!すき!!魔女先生』です。
原作の石ノ森章太郎氏は、『サイボーグ009』などハードなSF作品のイメージが強いかと思うのですが、『サイボーグ009』の003、『009ノ1』のミレーヌなどを見てもおわかりのとおり、美女を描くことにも定評があり、少女漫画のジャンルでも『龍神沼』などすぐれた作品を残しています。
『好き!すき!!魔女先生』の主役・菊容子さん演じる月ひかるは、まさに石ノ森先生の漫画に登場する美女を実体化したような美しさ。筆者は映像を見たとき、「日本のヘップバーン」だと、その美しさにただただ見とれてしまいました。
とはいっても、整いすぎている美女というわけでは決してありません。平和監視員としてはりきる一方で、王女様らしいわがままっぷりや世間知らずな一面もあり、先生として子供たちをやさしく見守り、導くか…と思いきや、子供相手にムキになることもしばしば。
美人だけど、気取らずやさしい、そして、ときおりおっちょこちょいで、こんな先生が実際にいたら、生徒たちの人気者になること間違いなし。
「かぐや姫先生」「魔女先生」に名に違わぬとても魅力的な月ひかるがこの作品の最大のみどころです。
そして、ひかるのお目付け役の宇宙人バル、ひかるが担任をつとめるクラスのお調子者・タツノオトシゴこと竜村正夫。ひかるの同僚・旗野先生(演じるのは若き日の森本レオさん!)ら、ひかるをとりまく個性的な脇役たちも魅力的なキャラクターがそろっています。
*変身美少女戦士の元祖
この『好き!すき!!魔女先生』、前半は月先生と子供たちの触れ合いを中心に描いたファンタジックな学園コメディでしたが、後半、その路線を変更。月ひかるは、上級平和監視員に昇格し「アンドロ仮面」に変身する力を得ます。そして、正義の戦士として、子供たちの日常をおびやかす悪者と戦うのです。
このアンドロ仮面はいわば変身美少女戦士の元祖。彼女の活躍が後の『美少女仮面ポワトリン』『美少女戦士セーラームーン』などにつながるといってよいでしょう。
子供たちを守るために月のパワーを使うかぐや姫先生。
悪と戦うために、月のパワーで変身するアンドロ仮面。
月ひかるは、「魔法少女」と「変身美少女戦士」の両方の顔を持つキャラクターであり、『魔女先生』は、この2つのジャンルの系譜を広げた作品なのです。
【魔女先生とまんが】
『好き!すき!!魔女先生』の原作は、石ノ森章太郎氏が「ティーンルック」に連載していた『千の目先生』という作品です。
ただ、この『千の目先生』、『魔女先生』と共通するのは、主人公が不思議な力を持つ若い美人の女先生という点のみ。地球をおびやかそうとする超能力者たちに立ち向かう“千の目先生”こと千草の戦いを描いたシリアスな物語です。
また、この原作とは別に「なかよし」(別府ちづこ)「テレビマガジン」(吾妻ひでお※ドラマでアンドロ仮面の元デザインを担当)など、『好き!すき!!魔女先生』は、コミカライズ版もいくつか存在していました。
王女・平和監視員・学校の先生・正義の戦士など様々な顔を持つ魔女先生は、どうやら、まんがの世界でも色々な顔を見せていたようです。
さて、この『好き!すき!!魔女先生』は目下 東映株式会社のYouTube公式チャンネル「東映特撮 YouTube Official」にて、毎週2話ずつ配信中。(2013年12月現在)
きれいでやさしくて、そしていさましい魔女先生の姿、必見です!
【関連URL】
・東映特撮 YouTube Official
http://www.youtube.com/user/TOEIcojp