水晶 日韓恋愛狂詩曲 1 (ビッグ コミックス)

『水晶 日韓恋愛狂詩曲』に見る国際意識

水晶 日韓恋愛狂詩曲 1 (ビッグ コミックス) テレビを見ていると、「韓国」「韓流」という単語を耳にする機会は決して少なくない。『冬のソナタ』が始まった2004年頃からスタートしたいわゆる韓流ブーム。最近は少し陰りが見えるが、アメリカのMTVに専用チャンネルを持っているという隣国のエンターテイメントのパワーとマーケテイング力は日本人なら否が応でも気になる話題の1つだ。

本作『水晶(スジョン) 日韓恋愛狂詩曲 』は、『都立水商!』で知られる“ラブストーリー請負人”猪熊しのぶが、日韓の国境を超えた愛のカタチを読者に問いかける。余談になるが、猪熊しのぶは名前と作風を見ると、女性という印象を持つ方もいるかもしれないが男性である。

主人公の喜多島行は、ある日偶然見かけた韓国人留学生・水晶に一目惚れをする。「その瞬間、刻は止まり…鼓動が……走り始めた――!」行と水晶の出会いは作中でこう表現されている。

2人は互いに惹かれ合うが、内気な行と勝気な水晶との間には文化、風習、民俗意識など様々な障害が当然のように待ち受けていた。それでも、互いに歩みより少しずつ理解を深めていく。特に水晶が日本の文化や男性を理解していき、一層行に惹かれていくシーンの描写が印象に残る。

作中では互いの国の差別意識について問いかける場面も見られる。行の大学生の同級生とその彼女、行と水晶が4人で飲んでいたシーン。水晶の美貌に嫉妬した、行の友人が「整形」「どこの店の女性か」という言葉を交えて水晶を虐げる。そこで水晶は「私の国にも同じような意識で日本人に接する人がいるのは事実。悲しいこと。」と一言。ネット上での本作の批判的な書き込み内容を見て、日本人として少し耳が痛くなった。

“日本”と“韓国”というより、純粋な個人間の恋愛がメインテーマであると作者も話している。恋愛、人と人との付き合いは偶然の賜物で、そこには国境も存在しないというメッセージは、現代を生きる私達が当然持つべき国際感覚、という気がするのだがいかがだろうか。

【作品データ】
作者:猪熊しのぶ
出版社:小学館(ビックコミックス)
刊行状況:2巻(続刊)

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