【連載】格闘漫画マニアックス – 『真島クンすっとばす!!』レビュー

陣内流柔術武闘伝真島クンすっとばす!! 2巻 愛蔵版 (ニチブンコミックス)

こんにちは。小太刀護身道四級(←いっきにグレード下がった)のrokuです。第一回の『修羅の門』に続き、今回は正統派古武術漫画『陣内流柔術武闘伝 真島クンすっとばす!!』を紹介させていただきたい。

【作品データ】
・作者:にわのまこと
・出版社:集英社(のちに宙出版・日本文芸社からも単行本発売)
・コミックス:全15巻(完結)
・リアル度:★★★★★
・知名度 :★★★☆☆
・少年ジャンプの恐ろしさを読者に見せつけた度:★★★★★

 

【あらすじ】
戦国時代にうまれたという伝説の古武術「陣内流柔術」。その伝承者に弟子入りした真島 零(まじま れい)は着実に力をつけ、“地上最強の格闘家”をめざして修行とケンカに明け暮れる。わずか16歳で国内最大の空手トーナメントを制覇し、さらに天才柔道家との死闘、世界的な格闘イベントへの参戦……真島クンの熱いバトルロードが続く!

【みどころ】
前回の記事で勝手に命名させてもらった「修羅フォーマット」。この作品も、伝説の古武術、若き主人公、最強空手トーナメントへの挑戦といった基本フォーマットを忠実に受け継いでいる。連載スタートは1995年。『修羅の門』人気が不動のものとなり、さまざまな雑誌で古武術漫画が連載されていた時期である。

作者のにわのまことは、20代後半以上の読者にはなじみが深い名前ではないだろうか。デビュー作『THE MOMOTAROH』『超機動暴発蹴球野郎 リベロの武田』をはじめ、激しい格闘技・スポーツをメインにしながら軽妙なギャグと高い画力にも定評がある。

この『真島クン』はそんな作者が格闘技に対する情熱をこれでもか!とぶつけた意欲作だ。明るく軽いノリながら、通すべきスジはきっちり通す熱血主人公。ヒロインは陣内流と因縁がある空手団体のご令嬢(館長の娘)。恋と格闘の両方でぶつかるライバル空手家、ボケオヤジだけど実は作中最強の師匠……などなど、定番ポジションながら魅力的なキャラクターが揃っている。

ストーリーもアクションの痛快さを損なわない程度によく練られており、単純なトーナメント試合から私怨による戦い、裏社会の陰謀がからんだバトルまで多彩で読者を飽きさせない。随所に作者お得意のギャグシーンが挿入されることもあって、どんな展開でも暗くなりすぎないところがいい。

さて、作品のキーワードとなる陣内流柔術だが、これは実在の「柳生心眼流」がモデルになっており、構えや技法などに共通点がみられる。ネットの動画サイトにいくつか柳生心眼流の型が公開されているので、興味がある人はご覧になっていただきたい。

こうした実在モデルに作者の格闘技知識がくわわり、バトルシーンはなかなかリアル。関節を極めながらの投げ技や、打撃に対する痛烈なカウンター技などは、おそろしく難易度こそ高いものの「がんばれば生身でも再現可能ではないか」と思わせてくれる。

また、同種の古武術漫画にないオリジナリティとして「主人公が使う武術が門外不出ではない」という点が挙げられる。作中で最強格闘技のひとつとまでいわれた陣内流だが、実は住宅地に道場をかまえていて、わりと誰でも入門できる。

もちろん修行が厳しいのと師匠がダメ人間(?)なので、いつも道場は閑古鳥。そのため後(続編)になって「家賃滞納により道場を追い出されそうになる」という、古武術漫画では前代未聞のシーンが見られた。ほかにも主人公の留守を狙って二流格闘家が売名行為のため道場破りに来るなど、試合シーン以外でも“リアル”を追求しているのはおもしろい。

全体として熱血とギャグのバランスが良く、同時期の古武術漫画としては最高クラスの良作だと評していいだろう――そう、ちゃんと完結さえしていれば……。

連載が終わったのは1998年。零の活躍が世界に飛び出した「GIGAバトル編」途中で、いきなり打ち切られたのだ。まだ最終目的と思われた格闘家との戦いは実現しておらず、中途半端な流れのまま終了。結局のところ“最強の敵”は格闘家ではなく、アンケート至上主義のジャンプ体制だった……という実に笑えないオチがついてしまったわけだ。

このまま埋もれた良作として人々の記憶から消えてしまうだけかと思われたが、2009年に日本文芸社の「コミックブレイク」創刊とともにまさかの真島クン復活。タイトルを『陣内流柔術流浪伝 真島、爆ぜる!!』に変え、同誌の看板タイトルとして21世紀に戻ってきた。

残念ながら掲載誌はすぐ休刊(正確にはケータイコミックへ移行)となったが、同社の「漫画ゴラク」へ移籍して現在も連載継続中。また、続編スタートにともなって『真島クンすっとばす!!』もニチブンコミックスとして愛蔵版が登場した。今からまとめ読みしたいという人は、こちらのニチブン版が入手しやすいだろう。本作と続編を通して読めば、あの打ち切りエンドにはこんな続きがあったのか、と納得できるはずだ。

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