月刊少女野崎くん(2) (ガンガンコミックスONLINE)

男子高生と少女漫画のケミストリー『月刊少女野崎くん』

月刊少女野崎くん(2) (ガンガンコミックスONLINE) 【あらすじ】
無骨な男子高校生・野崎梅太郎。しかしその実体は、売れっ子少女漫画家だった! 野崎くんに恋する女子高生・佐倉千代は、勇気を振り絞って告白するが、ささいな誤解から、彼の恋人ではなくアシスタントに就任してしまう。マイペース少女漫画男子・野崎くんの日常を描いたギャグコメディ!

【みどころ】
女性の社会進出が目立つといわれる現代日本。その一方で、今までは「女の世界」と思われがちだった業界に参入する男性が増え始めています。女性の就業率が多いとされる介護職・看護師や、飛行機のキャビンアテンダントとして、女性の同僚とともに活躍する男性は、その代表例といえるでしょう。そうした異変は、少女漫画界も例外ではなさそうです。

「無骨な男子高生が、乙女な少女漫画家だったら?」

という奇抜な設定で成功したのが、ガンガンONLINEで連載中の『月刊少女野崎くん』です。乙女心をわしづかみにする人気少女漫画家・夢野咲子。その正体は恋愛経験ゼロの男子高校生、野崎梅太郎だったのです! 漫画の世界でこそ、多くの読者の乙女心をキュンキュンさせる野崎くんですが、実生活ではいわゆる変人男子。ほがらかに、さわやかに、そして残酷に、デリカシーゼロの言動を繰り返しては「ほんと何で少女漫画描いてるの!?」とヒロインの千代に突っ込まれるマイペース君です。

当然、千代が向ける恋心にもさっぱり気づかない朴念仁の彼ですが、漫画に対しては一流のプロ根性を備えています。ツンデレの友人アシスタント(男)をヒロインのモデルにしたり、自分もヒロインの心情になりきって可愛いお弁当を作ったり、と、なりふり構わず乙女心を追求していくのです。こうした、女の聖域とされてきた世界に、全くそぐわないタイプの男が乗り込んで起きる、両者のケミストリーが本作の面白さといえるでしょう。

日本のリアル漫画界では、本作の作者である椿いづみ氏や『鋼の錬金術師』を描いた荒川弘や『マギ』の作者である大高忍など、少年誌で女性漫画家の活躍が際立っています。男女の垣根が低くなってきた現代日本なら、少女漫画界にも野崎くんのような才能あふれる男子がリアルに出現しても、けして不思議ではないのかもしれません。

【作品データ】
・作者:椿いづみ
・出版社:スクウェア・エニックス
・刊行状況:2巻まで(続刊)

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