ジョジョの奇妙な冒険 47 (ジャンプ・コミックス)

【短期集中】『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ総ざらい特集【第五部:黄金の風】

ジョジョの奇妙な冒険 47 (ジャンプ・コミックス) 【あらすじ】
東方仗助たちが杜王町で数々の怪異に遭遇してから2年後、2001年のイタリアが舞台。スタンド能力をもつ少年、ジョルノ・ジョバーナは“ギャング”に憧れていた。それは過去に親から冷たく当たられ、ゆがんだ人格になりそうな自分を救ってくれたのが名前も知らぬ一人のギャングだったからだ。しかし現実のギャング団は汚い仕事も平気でこなし、子どもたちにまで麻薬をバラ撒いている。そんな卑劣なギャングを消し去るには、みずからギャングの頂点に立つしかない――ジョルノはギャング団に末端メンバーとして加入し、ボスの座を狙い始めるのだった……!

【みどころ】
日常が舞台だった第四部とは対照的に、のっけから「ギャング団のボスになる」という明確な目的をもった五代目ジョジョ=ジョルノが主人公。目的のために仲間とともに各地を転戦するというスタイルは第三部『スターダストクルセイダース』を思い出させる。ただしジジイやオッサンもいた第三部とは違って、今回の主要メンバーはやたら若く(主人公が15歳、最年長者でも21歳)妙にイケメン度が高い。

スタート時にはギャングのボスになるという曖昧な目的だったが、物語が進むにしたがって誰が本当の敵なのかハッキリしてくる。そしてその“倒すべき敵”とは、ジョルノの戦う理由に直結する相手でもあった。ジョルノは自分のスタンド「ゴールド・エクスペリエンス」を駆使して、仲間たちとイタリア各地を戦い抜いていく。“攻撃した相手に生命エネルギーを与える”という奇妙な能力をもったジョルノのスタンドをはじめ、味方のスタンドも個性派揃い。ギャング内部の抗争を扱ったハードなテーマだけに、第四部とは対照的にダイレクトな攻撃能力に長けたスタンドが多い。

これは敵側も同じで、ラスボス(あえて正体の明言は避ける)が送り込んでくる刺客、または何らかの事情でジョルノたちと対立するギャング連中も強敵ばかり。チーム名からして「暗殺チーム」やら「直属親衛隊」やら物騒なネーミングだ。そのためか敵味方とも、戦闘によるキャラクター死亡率はシリーズ屈指の高さとなっている。

しかし死亡率が高いだけに、バトル描写はとても高密度。どのキャラクターも組織内で成り上がるため、または生き残るために全存在・全スタンド能力をかけてぶつかり合う。手に汗握って読むうちに、思わず敵キャラにまで感情移入してしまうのは第五部くらいかもしれない。

ほぼ無意味に終わった設定(ジョルノがディオの息子だった)や、いつの間にか消えてしまった設定(ジョルノのスタンド絡み)など若干ツメの甘さは見られたものの、それさえ気にならないテンションの高さは素晴らしい。まだアニメ化はされていないが、第五部だけを扱ったPS2のゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の旋風』が出ているほか、ノベライズもされておりファン人気の高さを伺わせる。第四部までわくわくして読んだ人は、こちらも存分に楽しめるはずだ。

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