示談交渉人M (バンブー・コミックス)

【短期集中】話題の漫画家・佐藤秀峰作品まとめてレビュー!『示談交渉人M』

示談交渉人M (バンブー・コミックス) 人気漫画『ブラックジャックによろしく』の二次使用を今月15日から完全フリー化し、20日から都内で初となる原画展も開催されるなど話題の多い作家・佐藤秀峰。いいタイミングなので、佐藤氏がこれまで描いてきた主要作品を一挙にレビューしていきたいと思う。まずは衝撃のハードサスペンス『示談交渉人M』からスタート。

【あらすじ】
雀荘に入り浸り、自堕落なその日暮らしを続ける若者・坂本次郎。そんなある日、次郎は雀荘で突然「示談屋」を名乗る真島という男に声をかけられ、ある場所へ連れて行かれる。いきなり訳もわからず放り込まれたのは、ヤクザとの命がかかった麻雀勝負。紆余曲折あって次郎は生き延びることができるが、代わりに償いきれないほどの“罪”を背負わされた。勝負のパートナーである真島を、自分の手で殺してしまったのだ。……そこから人生が一変し、まるで別人のようになった次郎。彼は自分と真島を死の勝負に巻き込んだヤクザについて調べはじめ、ある恐ろしい事実に到達する――。

【みどころ】
冒頭からいきなり作品タイトルでもあるM(真島)が死ぬという衝撃の展開。以後は彼を殺した(殺さなければ自分がヤクザに殺されていた)青年が主人公となって、真島が最期に残した「命って何だ…?」という言葉を胸に刻みながら絶望的な戦いを繰り広げていくことになる。

掲載誌が近代麻雀ゴールドということもあり要所ごとに麻雀バトルが展開されるが、根幹テーマは『ブラックジャックによろしく』など佐藤秀峰作品すべてに共通した“生きる”ことだ。ヤクザの勝手な野心のせいで一方的に生き方を変えられた主人公。ある事実をつかんでからはヤクザとも対等に交渉できる切り札を持つことになるが、迷った末に彼は「口止め料をもらって生き延びること」ではなく「自分と真島を陥れたヤクザを破滅させること」を選ぶ。ここからのストーリーが非常にアツい! やはり理性ではどちらが賢い選択か分かっていても、男は本能的にこういう破滅的な生き方を選ぶヒーローが大好きなのだ。

ちなみに自堕落な主人公がトラブルに巻き込まれ、男として勝負師として覚醒していくという物語は『賭博黙示録カイジ』シリーズを連想させるが、実はその作者の福本伸行から見て、本作の佐藤秀峰は弟子にあたる。絵柄に共通点はまったくないものの、ギュッと濃縮された真剣勝負のエキスは師匠ゆずり。この『示談交渉人M』も全1巻という短さながら、とんでもなくストーリーが濃い。他の作品で佐藤秀峰漫画のファンになった人は必読のタイトルだ。

コミックス発売が2003年と古めの作品だが、まだAmazonなどで普通に購入可能。また、作者自身が運営するオンラインコミック販売サイト「漫画onWeb」で第1話を試し読みでき、気に入ったらそれ以降も1話あたり10ポイント(10円相当)というリーズナブルな値段で即購入できる。作品をずっと手元に残したい人は紙の単行本を、パソコンからストリーミングで読めればOKという人は安価なオンライン版を……と選択肢が豊富なのはありがたい。

【作品データ】
・作者:佐藤秀峰
・出版社:竹書房
・刊行状況:全1巻(完結)

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