印象に残る“マンガ原作ゲーム”たち

最新号の週刊少年サンデーで名作『MAJOR』が大団円を迎えた。そして先日、たまたま『修羅の門』の記事を書いた。……はて、作品ジャンルも出版社も違うのに、どこかこの2つには共通点があったような? ああ、アレだ。思い出した。ゲーム版の評価が似てるんだ。

というわけで今回は漫画を原作にしたゲームのうち、新旧を問わず(わりと古いものが多め)印象深いものを取り上げてみる。どれも微妙な紹介の仕方だが、決してゲーム制作者・販売元に対する悪意はないので誤解なきよう願いたい。

■ゲーム1 『メジャーWii パーフェクトクローザー』(2008年/Wii)
アニメ4期をベースにした本格(?)ベースボールゲーム。なにげにBGMやキャラボイスは良いのだが、もはやネタの域に達する数々のバグが原作ファンをうならせた。明らかにおかしいストライクゾーン、守備範囲を間違えている野手たち、どうみてもファール性の当たりがホームラン、負けたはずが試合に勝っていた、試合中なのにベンチが空っぽ、キャラクターの首が映画『エクソシスト』のように180度反転する……などがバグの代表例。
なお、おりしもこのゲーム発売とほぼ同タイミングで『劇場版MAJOR メジャー 友情の一球』が公開されている。邪推するつもりはないが、劇場版にあわせてゲームを発売するために相当無茶な制作スケジュールを組んでしまったのではあるまいか。

■ゲーム2 『修羅の門』(1998年/プレイステーション)
コマンド選択式のメガドライブ版ではなく、ここではポリゴン(?)格闘ゲームのプレステ版を紹介したい。原作第4部、つまり現在までの全巻に含まれるキャラクターが登場する。とはいえ容量の関係なのか、あれほど個性豊かだった原作キャラのごく一部しか操作できない。
また、バグではないと思われるが演出・ゲーム性にもネタ的な意味で定評がある。“ラジオ体操”と揶揄されるオープニングの演武シーン、時代を5年ほど逆行したかのような荒いポリゴン、一度マウントポジションを取れば無限に殴れる即死技の存在。これらはレビューサイトなどで広く取り上げられ、今でもネット界隈の住人を楽しませている。
ファミ通のクロスレビューでは史上ワーストとなる12点(満点は40点)を獲得。発売当時に学生だった私は攻略本を見た時点で買うのをやめたが、入手困難となった今となっては少し後悔している。

■ゲーム3 『プロゴルファー猿』(2008年/Wii)
現代のグラフィック技術で再現された猿丸やミスターXたち、奇想天外でインパクト抜群のコース、気合いの入ったボイス、漫画っぽさがうまく出せているショット時の演出。このあたりは原作ファンにとって非常にうれしい。
が、困ったのは“ゴルフゲーム”としての仕様だ。難易度が高いショットの照準あわせ、不自然なほど転がらない打球、ゲーム全体の圧倒的なボリューム不足、常にOBかナイスショットかの二択という男気あふれる打球。そのすべてがあいまって、ファミ通のクロスレビューでは史上ワーストタイとなる12点を獲得。不朽の名作が大変なことになってしまった。

■ゲーム4 『覚悟のススメ』(1997年/プレイステーション)
こちらも『修羅の門』と同じく、バーチャファイター系の対戦格闘ゲーム。主人公の覚悟をはじめ、ヒロイン・罪子、最強ライバルの散まで主要キャラがポリゴンで暴れ回る。
原作ファンからは「クソゲー」「またトミーかよ」「原作者に謝れ」などとさんざんな言われようだが、個人的にはそれほど悪いゲームじゃないと思っている。たしかにボリューム不足は否めないものの、山寺宏一・緒方恵美・千葉繁をはじめとした超豪華キャスト陣の熱演、普通なら「ラウンド1、ファイト!」のところを「第一局面、地獄開始」と表記するセンス、当時としては決して低くないグラフィック水準など評価すべき点も多いはず。
現在の技術でPS3あたりの最新ハードに移植してくれれば、間違いなく購入したいところである。

――以上、好き勝手にチョイスして紹介してみた。あらためて見てみると、ファミ通レビューで歴代最低の2本がいずれも漫画(しかも傑作)原作という事実に、漫画読みとしては驚かされる。メーカーさん側にもいろいろ都合があるとは思うが、ぜひ原作の良さを引き出せるようなゲームをたくさん作ってもらえるよう応援&期待させていただきたい。

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