小煌女(1) (講談社コミックスキス)

真のプリンセスは誰?…児童文学を大胆にリメイクした傑作『小煌女』

小煌女(1) (講談社コミックスキス) 【あらすじ】
時は宇宙時代。地球連邦英国自治区のベネディクト女学校に、惑星トアンの王女・ジノンが疎開留学してくる。付添いのセニンとともに最上級生クラスに入学したジノンにクラスメイトたちは沸き立ち、女学校で住み込みのハウスメイドとして働くサリーは、ジノンの高貴さに憧れる。
しかし、年明け、内戦悪化の末にジノンの故郷、惑星トアンは核爆発で消滅してしまい……

 【見どころ】
作家バーネットの児童文学「小公女」をリメイクしたこの作品は、
イギリス的な品のよさとSF的な大胆さが見事にまじりあった傑作。
宇宙からやってきた神秘的な王女ジノン。そして、王女に憧れるメイドのサリー。
彼女たちは、つまり「小公女」の主人公セーラとメイドのベッキーにあたります。
凛として高貴な心を忘れないジノンと情にもろく、素直で温かい心の持ち主・サリー。故郷を失ったジノンと、ジノンの力になろうとするサリー。

二人の友情、そして、それぞれが抱く複雑な感情、彼女たちそれぞれの恋愛が物語の中で描かれています。

それは、原作に沿った部分もあれば、そうではない別要素もあります。
しかし原作の持ち味をへんに壊さず、そして、アレンジを加えた部分も、いたずらに物語をいじろうとしていない。
作者が確かなこだわりを持ち、非常にていねいに作りこんでいます。
すでに全5巻完結しており、5巻という短い尺ではありますが、物語が変に急いだり、引き延ばしたりすることなく、ちょうどよい尺ですっきりと終わっています。
物語のラストで、読者は知るのです。
きらめくプリンセス、真の「小煌女」は、いったい誰なのかを……。

正直、筆者はなぜ、この作品がマンガ大賞などにノミネートされなかったのか、不思議でなりません。
上品で大胆。そして、清廉でドラマチックな物語は、まさに「名作」と呼ぶにふさわしいです。
この良質な作品をぜひもっと多くの方に知ってほしいし、古くからの児童文学が時を越えてこのような漫画の傑作として生まれ変わった、日本の漫画文化はなんと素晴らしいかと思います。

【作品データ】
作者:海野つなみ
出版社:講談社
刊行状況:全5巻(完結)

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