戦争は8月15日で終わっていなかった『極北のゲロイ』

今回は小学館「ゲッサン」で連載中の『極北のゲロイ』(柿崎正澄)を紹介します。

日本における終戦の日は8月15日です。これは玉音放送の流れた日であり、日本政府として降伏を宣言をした日となっています。しかし、それで戦争が終わった訳ではありません。あくまでも日本が無条件降伏を受け入れただけであり、その宣告が十分に伝わらないまま、局地的な戦闘が継続していました。そうした戦闘の中でも大きかった戦いのひとつが、ソビエトによる北方領土への攻撃です。本作は、そのソビエトによる北方領土への侵攻をテーマとしています。

そもそも当時結ばれていた日ソ中立条約の破棄が1945年4月5日であり、条約の内容に従えば1946年4月25日で失効となります。けれどもソビエトは1945年8月8日に日本に宣戦布告し、当時の日本領土や領海への侵入を開始します。

まあ、現代のウクライナ侵攻を見ても、当時のソビエトや今のロシアを信用した方が愚かだったと言うより無いかなと思います。条約にしても、その裏付けとなる力がないと、破られても抵抗できませんからね。

さて、本作の単行本1巻は昨年12月12日に発売されています。どちらかと言えば掲載内容は穏やかな日常が中心。もちろん第二次世界大戦中なのですけれども、作品の舞台となっている北方領土は、アメリカ侵攻のターゲットからは外れているためです。

ただし武器や弾薬を始めとした物資不足や、年少の女性や学生まで貴重な労働力となるなど、厳しい状況は絶え間なく表現されています。

そして8月15日。玉音放送が流れ、一応は終戦となるのですが、前述した通りきな臭い匂いが満ち満ちてきます。言うまでもなく日本軍も備えてはいますが、「もう戦争は終わったんだ」って雰囲気が一杯です。

それでも終わらないのは皆さんもご存じの通り。直近の「ゲッサン」5月号の連載では、とうとうソビエト軍が北方領土への侵攻を開始します。「まさか」と「来たか」が五分五分でしょうか。
もちろん軍人にも民間人にも被害が出始めており、自衛戦闘による反撃開始。となったところで、次号は休載のお知らせ。残念ですが、7月号以降の進展を待ちましょう。

【作品データ】
作者:柿崎正澄
連載:小学館「ゲッサン」連載中
刊行状況:1巻発売中、以下続刊