異能はバトルだけしゃない!『たあいないのうりょく』

今回は竹書房の漫画サイト「竹コミ!」などで連載中の『たあいないのうりょく』(高野雀)を紹介します。

異能を持った人や亜人、神仏、怪物達がバトルする漫画が、これでもかと言うくらいに出ている昨今。

「線を真っすぐに引くのが得意」
「針に糸をすぐに通せる」
「お茶をピッタリ注ぐことができる」

そうした他愛ない能力を持って宇宙の覇権をかけたバトルを…しない日常を描いている漫画が『たあいないのうりょく』です。

主人公の元木福(もとき ふく)は、「アラームの鳴る数分前に目が覚める」ことができる能力の持ち主です。「それじゃあ、遅刻しなくて済むじゃん!」と思うかもしれませんが、本人にすれば『で、何なの?』と思ってしまうようです。そんな福が働いていた会社がつぶれてしまったことで、妹である麦(むぎ)が勤めるスーパーで働き始めるところから話が始まります。まあ勤め人であれば、遅刻をしないのは必須条件のひとつですよね。

主人公らが勤めるスーパーには、他にも「紙を均等に折ることができる」「他人のお腹を空かせる」「水の温度が分かる」「相手の好物が分かる」「カロリーが分かる」なんて異能が登場します。スーパーに限らず、使いようによっては仕事に活かせる異能ですが、それで仕事の成果につながるかは難しいところ。『何だか、あの人の近くにいるとお腹が空くなあ』なんて、ある意味では迷惑になっちゃいますからね。

さて、本作の元になったとも言える作品が、竹書房「まんがライフオリジナル」にて連載されていた『しょうもないのうりょく』です。

どちらも多彩な異能を持った人達がワイワイガヤガヤする毎日を描くのは同じなのですが、『しょうもないのうりょく』では「不老不死」なんて、しょうもなくない異能が登場します。人によっては喉から手が出るほど欲しい異能でしょうね。もっとも、異能をやり取りすることはできませんし、遺伝などで受け継ぐようなこともありません。その辺りの設定は本作と同じです。

戻って、『たあいないのうりょく』の主人公の福ですが、実はもうひとつ「周囲の人に幸運をもたらす」異能も持っています。しかも本人は気づていないと言うおまけつき。その異能で周囲の人々を次々に幸せにしていくのですが、本人が幸せになる日は来るのでしょうか。でも、福が結婚すれば夫が幸運になるんですよね。いや、福と結婚できること自体が幸運なのかも。などいろいろ考えられるのですけど、今後も楽しみに読んでいきたいと思います。

【作品データ】
作品:たあいないのうりょく
作者:高野雀
連載:竹書房サイト「竹コミ!」など連載中
刊行状況:1巻発売中、以下続刊

【作品データ】
作品:しょうもないのうりょく
作者:高野雀
連載:竹書房「まんがライフオリジナル」連載
刊行状況:全3巻