将棋の奨励会三段リーグとは?『盤上のオリオン』

今回は講談社「週刊少年マガジン」で連載中の『盤上のオリオン』(新川直司)を紹介します。

本作で舞台となるのは奨励会の三段リーグです。「何それ?」と思う人が多いでしょう。一方で「ああ、あれね」と思いつく人も少なからずいるはず。

奨励会(しょうれいかい)とは。正式名称「新進棋士奨励会(しんしんきししょうれいかい)」であり、将棋のプロになるための養成機関です。小学生や中学生で奨励会に入会し、好成績を上げると級や段が上がっていきます。そして二段で好成績を上げると三段リーグに参加。そこで半年(18局)戦って上位2名に入ると四段、つまりプロになることができます。

奨励会に入会するだけでも難しいですし、そこで勝ち上がって、さらに約40人も所属する三段リーグで上位2名に入らないとプロにはなれません。またプロになっても切磋琢磨し続ける必要があるのですが、そこは一旦横に置いておきましょう。『盤上のオリオン』では棋士を目指す男女を描いており、現在のところ、この三段リーグで戦う様子を描いています。

本作で主人公となるのが奨励会三段の二宮夕飛 (にのみや ゆうひ) です。将棋が趣味であった祖父の影響を受けて将棋の道に進み、若くして三段まで上ったことでプロとしての将来を嘱望されるのですが、祖父の死去により成績が低迷しています。
そんな夕飛が出会ったのが、もう1人の主人公でヒロインとも言える茅森月 (かやもり つき) です。彼女も将棋に関してはなかなかの力量を持っており、初めての対局で夕飛は負けてしまいます。

そこから夕飛は立ち直り、一方の月は将棋の奥深さに触れたことから棋士への道を進んで行く。そんなストーリーです。ただしあっさりと四段の棋士になれるわけがなく、その前触れとして三段リーグが舞台となっています。先ほど棋士になるまでの道のりを書きましたが、奨励会を勝ち上がる以外にも棋士になる道が存在します。そのひとつがアマチュアの全国大会で優勝すること。例えばアマチュア名人やアマチュア竜王になった後、奨励会二段の8人と対局し、6勝すれば三段リーグに編入(2年間のみ)できる制度も存在します。そこに挑戦したのが月で、見事に三段リーグへの編入を成し遂げました。

そんなこんなで現在は夕飛と月を中心に三段リーグで戦う様を描いています。実際の三段リーグも凄腕ぞろいなのですが、2人の力量をもってしても勝ってばかりでないことからも分るのように、本作でも一癖もふた癖もある三段連中が登場します。実際の三段リーグでは14勝4敗くらいが四段になれるライン。果たして夕飛と月は勝ち抜くことができるのか。そしてプロになっても、さらに癖強の棋士たちを相手に勝ち上がって行けるのか。これからの展開を楽しみにしたいと思います。

【作品データ】
作者:新川直司
連載:講談社「週刊少年マガジン」連載中
刊行状況:1~7巻発売中、以下続刊