9~10秒にかけるランナーの物語!『ひゃくえむ。』

陸上の100メートルは、100メートルをいかに速く走るかを競う競技です。男子の世界記録は、ウサイン・ボルト選手の9秒58。日本記録は、山縣亮太選手の9秒95。女子の世界記録は10秒49なので、9秒~10秒の間で速く走れる選手が強いことになります。

速く走れる才能か、努力で積み上げる才能か、どちらが有利なのでしょうか。その命題に取り組んだ作品が、魚豊先生の『ひゃくえむ。』です。本作は、魚豊先生のデビュー作品です。

【作品紹介】

本作の主人公は、トガシという少年です。トガシは生まれつき足が速く、他には何も取り柄といえるものはありませんでしたが、速く走ることで居場所を確保してきました。

しかし、小学6年生の時、初めての敗北を味わいます。

その後、小宮という辛いことを忘れるために走っている少年と出会い……。

小宮の情熱に当てられたトガシが、異常なまでの興奮と高揚感を知ることで起こる狂気を描いた物語です。

【作品の見どころ】

「速く走る才能」を持っているトガシ。
「才能を持っている選手に触発されて努力を積み上げる」小宮。

ふたりの立ち位置は、非常に対照的です。

対照的だからこそ、お互いに影響を与えあって成長することができます。

皆さんもご存知のとおり、100メートル競走はほんの9~10秒の間で勝負が決する競技です。

その一瞬にすべてを掛ける人たちの葛藤がうまく描かれています。

【作品データ】
・作者:魚豊
・出版社:講談社(マガジンポケット)
※「マガジンポケット」でも読めます
・刊行状況:全5巻(新装版は全2巻)