10歳そこそこで働く時代がありました『うちのちいさな女中さん』

今回は「月刊コミックゼノン」にて連載中の『うちのちいさな女中さん』(長田佳奈)を紹介します。

主人公は14歳の野中ハナ(のなか -)。タイトル通りに女中として働いています。現在の法律では一部の例外(芸能界の子役等)を除いて、15歳未満の労働は禁止。ただし、本作の舞台は昭和初期の東京。当時は義務教育(尋常小学校の6年)を卒業した子供は各所で貴重な労働力となっていました。幼くして両親を亡くしたハナは親戚に引き取られた後、女中として働いています。

ハナの雇用主となっているのが、蓮見令子(はすみ れいこ)。翻訳の仕事で生計を立てており、以前に結婚をしていた(夫は数年前に死去)ことも明らかになっています。必然的に若い女性の2人暮らしとなっており、ちょっと物騒にも思えるのですが、まあ、その辺りは置いておきましょう。

幼いハナを見た令子は驚くのですが、それは連絡ミスで、もっと年かさの女中が来ると思い込んでいたため。ただし14歳ながらも家事万端をこなすハナをすんなり受け入れます。一方のハナも自室(女中部屋)が貰えたり、冷蔵庫(氷式)、ガスコンロ、水道などが備わった生活に目を丸くしています。そんなこんなで話が展開していくのですが、基本的には昭和初期の日常を描いた漫画です。

そうした中でも特に力を入れて描かれているのが食事シーン。ご飯やお味噌汁などの日常食から、カレーライスやオムレツなどの洋食。さらにはアイスクリームやプリンなどのデザートにも焦点が当てられています。ものによっては詳しい料理方法なども描かれているので、再現が可能。長田先生のXでは時折元ネタも投稿されています。

現在単行本は6巻まで発売中。連載が進むにつれて、令子の家族や友人知人、近所の人が登場することで、ハナの世界が広がっていきます。当初は乏しかったハナの表情が確実に豊かになっていくのですが、それと共に令子も死去した夫の影を振り払っていくように感じます。

そこで気になるのは今後の展開です。令子に再婚を進める知人もいるのですが、それは一旦先送りとなった模様。むしろハナの教育に力を入れている様子が描かれています。連載当初からハナも令子が翻訳した童話集を持っているのが明かされており、このまま女中業だけに注力するとは思えません。と言って、文学の道に進むのも簡単には行かないですよね。さて、どうなるのかが楽しみです。

【作品データ】
作者:長田佳奈
連載:コアミック「月刊コミックゼノン」連載中
刊行状況:1~6発売中、以下続刊