声のギャップがもたらす百合物語『キミが吠えるための歌を、』

例えば、見た目は大柄だけどしぐさがかわいい。逆に、見た目は幼く見えるけど声はハスキーなど、ギャップがありすぎる人はたくさんいます。本人はコンプレックスのようなものを感じる一方、それに惹かれる人もいるわけです。

今回は自分の声に悩んでいた少女が、その声を褒めてもらえたことからはじまった音楽青春物語、樫風先生の『キミが吠えるための歌を、』を紹介します。

【作品紹介】

本作の主人公は、高校1年生の大神晴です。物語は入学式後の一コマからスタート。

幼い見た目に、低いハスキーボイス。外見に合わない声にコンプレックスを持っている彼女は、声を出すたびに「ちっちゃいのにハスキー」などと言われ、話すことが怖くなり……いつしか心にカギをするようになっていきます。

そんな彼女が、唯一夢中になれる場所が秘密の収録部屋。よく歌っているのは、最近見つけたボカロPのユーリさんです。

その「ユーリさん」の正体は、クラスメイトの成宮優雨。ある時、落としたスマホから流れていた自分の声を偶然拾った優雨に聞かれてしまいます。

「また馬鹿にされる」と怯えていた晴でした。

しかし、その声に惚れ込んでいた優雨は「私とユニットを組んでプロを目指さない?」と誘ってきて……。ただ、その優雨にも心になにか引っかかりがあるようで……。

本作は、くすぶる思いを抱える少女ふたりによる、音楽からはじまる百合物語です。

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【見どころ】

本作の見どころは、ふたつあります。

1つ目は、主人公の大神晴が心のなかに潜むブレーキを外す瞬間です。

小学生の頃から「男みたいな声」とか「気持ち悪い」など、声を出すたびに言われ続けてきた晴は、高校生に至るまでそれらをトラウマに抱えていつしか制限をかけていました。

そのため、歌が好きなのにもかかわらず、長い間全力で歌うことがまったくできませんでした。

晴も優雨との出会いによって、少しずつ自身の中にある感情を表現していき……。

晴が感情を開放していく過程が物語のカギを握っています。

2つ目は、優雨の個性と晴の個性が融合する瞬間です。

優雨は歌うより作曲するほうが好きで、さまざまな楽曲をボカロを使って発表しています。

その優雨も、好きな音楽で認められたいという思いがあり、偶然聞いた晴の声に惚れ込んで晴と組むことを決めます。

どちらも素晴らしい才能を持つ者同士が融合することで、どのような化学反応が起こるのか、今後の展開が楽しみです。

【作品データ】
・作画:樫風
・出版社:一迅社(コミック百合姫)
pixivコミックで、試し読みできます
・刊行状況:既刊1巻(以下、続刊)