意外と知られていないことのひとつが、大相撲力士の格付けと待遇差に関することです。格付けは、序の口・序二段・三段目・幕下・十両・前頭・小結・関脇・大関・横綱の10にわかれ、待遇差はいわゆる関取といわれる十両と幕下で大きく異なります。
幕下であれば場所ごと(2ヶ月に一度)に15万円なのに対し、十両は月給110万円が支給されるので、入門するとまずは関取(十両)昇進が目標です。その角界のお金の事情を描いた作品として、山崎享祐先生の『ゼニ番付』を紹介します。
【作品紹介】
主人公は、銭形部屋に所属する大相撲力士の銭丸小太郎。高知県出身の24歳です。
連載スタート時の番付は、東幕下2枚目。第1話の最初に描かれていた、十両力士との入れ替え戦に勝利して5勝したことで、晴れて十両昇進したところから物語がスタート。
最初にも書いたように、世間一般に「関取」と呼ばれる十両。幕下時代の2ヶ月(場所)ごとの15万円から、一気に月給110万円になるわけで、銭丸の顔も自然と緩みます。
その銭形部屋の家訓は「銭のない力士は命のない力士と同じ。土俵と土俵外でゼニを生むゼニ番付を作れて初めて銭形部屋の力士と言える」というもの。
本作は、角界を巡る巨額の金の流れについて、幕内から十両に上がったばかりの若手力士の目から描いた物語です。
【作品の見どころ】
相撲界には「土俵に金が埋まっている」という言葉があります。つまり、稽古に励んで、相撲で活躍して番付を上げて人気が出れば、高収入を得られるから頑張れという意味でいわれる激励の言葉です。
実際には、土俵の外にも金が落ちているのかもしれません。
実際、関取(十両以上)になると、毎月のお給料だけでなく、自身の取組に懸賞金がかけられていたら、場所終了後に勝った分だけ懸賞金をもらえます。
その他、後援会、タニマチ、裏方など、土俵外にも大きなお金の動きがあり、そのあたりの事情について、赤裸々に描かれている点が『ゼニ番付』の見どころです。
【作品データ】
・作画:山崎享祐
・出版社:双葉社(週刊大衆にて連載中)
※公式ページで、試し読みできます
・刊行状況:既刊1巻(以下、続刊)
