自分の声が嫌いな人にこそ読んでもらいたい『ヴォカライズ』

「声・脳・教育研究所」が約1万4000人に行った調査によると、日本人の84%は自分の声が嫌いという結果が出ました。自分の声を嫌うことで作り声になりやすく、その結果として自分の声がますます嫌になるという悪循環が訪れるわけです。

自分の声が嫌いになると、まず自分の感情を心の奥に押し込みやすくなります。そんな女子高生が自分の感情を表に出すことで、心を解き放つさまを描いた作品が小菊路よう先生の『ヴォカライズ』です。

【作品紹介】

主人公は女子高生の瀬尾セラ。低い自分の声にコンプレックスを持っています。

声を笑われることが怖くなったことで、思っていることを声に出せなくなり、クラスに馴染めないままでした。

そうなると必然的にボッチになるわけですが、セラのクラスにはいつもヘッドホンをして音楽を聞いてばかりで、周囲から浮いている鳴上尊という男の子がいます。

鳴上が他の男子に絡まれているのを見過ごせなかったセラは、お腹の底から力いっぱいに大きな声を出すと……。

後ろから追いかけてきた鳴上に、屋上へと連れて行かれて「俺と歌ってほしい」と言われ……。

「ぼっち」同士による、運命の共鳴ストーリーがはじまります。

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【作品の見どころ】

本作の見どころは、ぼっちだったふたりが出会うことではじまる、心地よさの共鳴です。

鳴上尊は歌のうまい男子高校生ですが、人の声に味覚が反応する共感覚の持ち主。

そのためにいつもヘッドホンで音を遮断しています。

こういった感覚は、なかなか理解されないですよね。

一方のセラも、自分の低い声にコンプレックスがある。けれど、歌うのは好き。

そんなふたりの化学反応が、今後どのように展開していくのかこれからも楽しみに読み続けたい作品です。

【作品データ】
・作画:小菊路よう
・協力:かくたあおい
・出版社:講談社(月刊少年シリウス)
コミックDAYSで、試し読みできます
・刊行状況:既刊1巻(以下続刊)