医療が届かない人を救う!『デリバリードクター~元天才外科医の訪問カルテ~』

頭痛や不眠、倦怠感は、長期間放置したら慢性疾患に発展するだけでなく、より重篤な疾患につながる可能性もある疾患です。それにもかかわらず、病院にかかろうとしない人が一定割合でいます。

その理由は「家庭の都合(介護など)」「少々の不調くらいと思った」などさまざま。このような医療の届きにくい人たちに対して、いつでもどこでも車で駆けつける医療ドラマが、野村明生先生の『デリバリードクター~元天才外科医の訪問カルテ~』です。

【作品紹介】

主人公は、研修医の彦名素直。母親には心臓疾患があり、素直が小学生の頃に彦名の家を出ていき、そこからは祖父と二人暮らしをしていました。

そんな彼は、9年前にテレビで王室蒼の心臓手術のニュースを見て以来ずっと憧れを持ち続け、そこから「お母さんの心臓病を治すために、王室先生のもとで外科の勉強をしたい」と思い、循環器の医師を目指して必死に勉強。

晴れて医師国家試験に合格して、王室が在籍する病院へ研修医として入職を果たします。

しかし、目の前にいる本人の所属は外科ではなく、車で訪問診療を行う移動病院。つまり、病院にかかるのが困難な患者の診察を行う部署にいて……。

本作は、かつて天才外科医といわれたコミュニケーションが苦手な王室と、研修医・彦名の凸凹コンビによる、訪問診療のメディカル・ヒューマンドラマです。

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【作品の見どころ】

本作の見どころは、研修医の彦名と王室が織りなす息のあった掛け合いにあります。

王室は少し患者の様子を見ただけで発症した原因を突き止めたり、どれくらいで救急外来に運ばれるかを見抜いて連絡をお願いしたりするなど、能力が非常に高い医師です。

しかし、極度の人見知りで、人の前ではガタガタ震えてしまいます。そして、一度のミスを深刻に振り返ってしまう繊細な一面があるのです。

天才外科医といわれていたところから移動病院への異動なので、何らかの過去があるのだと思われますが、そのあたりの描写も含めて今後が楽しみな作品といえるでしょう。

【作品データ】
作画:野村明生
出版社:双葉社
Webアクションにて閲覧可能
刊行状況:既刊1巻(以下、続刊)