家族の崩壊と再生を描いた物語『そんな家族なら捨てちゃえば?』

配偶者による暴力(DV)には、身体的暴力や精神的虐待の他、経済的暴力、社会的隔離などがあります。相談も年々増えており、令和2年度(2020年度)の相談件数は8万件を超えました(内閣府 男女共同参画局の調査(https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r03/zentai/html/honpen/b1_s07_01.html))。

こうした目に見えやすい暴力がきついのは言うまでもありませんが、無視というのはもっときついものです。ある日突然はじまった無視による家族の崩壊と再生を描いた物語として、村山渉先生(https://x.com/murayamawataru)の『そんな家族なら捨てちゃえば?』を紹介します。本作は、昨夏関西テレビ系列でドラマ化され、電子書籍を含む累計発行部数が100万部を突破した話題作です。

【作品紹介】

主人公は会社員の篠谷令太郎。妻の和美、娘の一花と3人で暮らしています。

しかし、家では妻と娘から無視され、過程内では一人、暗く狭い部屋での寝食を強いられ、セロハンテープで貼られた線を越えることを禁止される毎日。

彼はあくまで「ちょっと変なルールがあるだけ」と言い聞かせていましたが、通勤電車を待っていたある日、平衡感覚を崩しそうになります。

その時、ある女性に「それって、DV(家庭内暴力)じゃないですか?」と問いかけられ……

そこからはじまった、家族再生を目指す物語です。

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【作品の見どころ】

本作の見どころは、下記の事柄について丁寧な絵柄で描いているところにあります。

  • 夫婦仲が悪くなった原因
  • 娘が不登校になった理由
  • 夫婦の気持ちのすれ違い
  • それに伴う周囲の人間の心理 など

話が展開するテンポはやや遅めですが、丁寧に描かれている分納得できるスピードです。

家庭不和というのは、現代社会において悩んでいる人も多いテーマなので、共感できるところも非常に多いのではないでしょうか。

最終的に令太郎が家族再生できるのか、やはり捨ててしまおうとなるのか、今後の展開も期待できますね。

【作品データ】
・作画:村山渉
・出版社:芳文社(コミックトレイル)
コミックトレイルで試し読みできます
・刊行状況:既刊12巻(以下、続刊)