社会にはびこる理不尽に立ち向かう処方せん『この世は戦う価値がある』

少子化により、どの企業も20代の若手を確保するのに苦労しているのが実情です。2022年に行われた調査によると、20代社員でメンタルヘルス不調が増えているという結果が出ています。

実際、あまりに我慢しすぎるとストレスが溜まって、メンタルに影響が出やすいのは確かです。働いている人の中には、上司・同僚のハラスメントに爆発寸前という方も多いでしょう。そこで、ストレス解消にもってこいのマンガとして、こだまはつみ先生の『この世は戦う価値がある』を紹介します。

【作品紹介】

主人公は、入社3年目の女性社員・伊東紀理(25歳)。「役に立つ人間になりたい」と願いながら生きている女性です。

物語は海に沈んでいく車椅子と、部屋で寝ている主人公の描写からはじまります。そんな彼女が目覚まし時計の音に気づき、慌てて会社に行くと積まれるエナジードリンクに、先輩社員から行われるセクハラとパワハラ、彼氏からのモラハラに心は限界寸前。

そんな時に届いたのが「臓器提供意思表示カード」。このことを機に、会社を退職してモラハラ彼氏に別れを告げて、人生の大逆転が始まります。

本作は、人生に限界を感じ追い込まれた彼女が、人間関係の貸し借りを整理することで人生の総決算を図る物語です。

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【作品の見どころ】

本作の面白さは、主人公・紀理の吹っ切れ方にあります。

限界を感じた彼女は、自分だけが仕事を押し付けられている現状や不機嫌で人をコントロールしようとする人たちにキレて5日間無断欠勤。

吹っ切れた彼女はこれまで我慢してきたうっぷんを晴らすように、かつての上司や同僚に言いたい放題言い散らかし、元カレの浮気現場に乗り込んで、金属バットで制裁を加えます。

「もっとも怖いのは普段から力を誇示している人ではなく、普段は大人しくしている人だ」とよく言いますが、まさにそれを地で行く感じですね。

仕事でストレスが溜まって人は、これを読むことで少しはストレス解消になるのではないでしょうか。

【作品データ】
・作画:こだまはつみ
・出版社:小学館(ビッグコミックスピリッツ)
ビッコミで試し読みできます
・刊行状況:既刊3巻(以下、続刊)