厚生労働省の調査によると、労働相談における「イジメ・嫌がらせ」の件数は、全国で8万件以上です。そのため、2022年4月1日からは、会社の規模に関係なくパワーハラスメント等の防止処置の義務化が義務づけられています。
それほど深刻な問題になっているイジメ・ハラスメント問題。その実態を描いた作品が、屍死郎先生原作、りほぴよ先生作画の『大人はイジメをやめられない~弱者の生存戦略~』です。
【作品紹介】
作品の舞台は、労働組合事務所グリーン。「ユニオン」とも呼ばれます。通常はその会社の社員でないと加入できませんが、アルバイトや派遣社員など1人でも加入できる会社外の労働組合です。
その労働組合で職員として働く、黒崎晴信と磯野はなこが本作の主人公。ある社員が理不尽な土下座を共用されている場面から、物語がスタートします。
最初は弱々しくやられっぱなしのように見える労働者が、黒崎がいうところの「弱者の生存戦略」を駆使して会社に立ち向かう物語です。
【3/18(火)発売‼】
『大人はイジメをやめられない〜弱者の生存戦略〜』2巻労働組合グリーンの黒崎が、弱者の戦略を駆使して理不尽な現実に立ち向かう!
衝撃の第2巻! pic.twitter.com/p7lyupwqKV— ヤングチャンピオン (@young_champion) March 18, 2025
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【見どころ】
私たちは「イジメはいけないこと」と言われて、育ってきました。しかし、大人の世界でも長時間労働や過度な圧力にさらされるなど、イジメやハラスメントがなくならないのがこの世の中の現実です。
筆者も、実際にそういう目に遭ったことがあります。大人ゆえに逃げ場がないのが、何よりも辛いところです。私の場合は、あまりにバカらしくなって「辞める気はないけど、懲戒解雇されるまで最低限の仕事しかせず、それ以外の業務命令はすべて無視して居座る」と開き直ったら懲戒解雇されて事なきを得ました。
それはさておき、やや極端に走るような描写も多いのは確かです。それはマンガの性質を考えればやむを得ないところでしょう。しかし、現実には「ここまでしないと目が覚めない人は多いのかもしれない」と思わされる点が、本作の魅力といえます。
現在イジメやハラスメントに苦しんでいる人こそ、本作を読んでもらいたいと声を大にして言いたいところです。
【作品データ】
作画:りほぴよ
原作:屍死郎
出版社:秋田書店
※ヤンチャンWebにて連載
刊行状況:既刊2巻