樫風先生がこれまでに描いた短編傑作集『ロンリーガールに花束を 樫風短編集』

文武両道の優等生・桜井彩花と不登校の生徒・本田空の青春ラブコメを描いた『ロンリーガールに逆らえない』。2019年~2022年にかけて「コミック百合姫」で連載され、日本国内では単行本全6巻、北米でも英語版が発売されました。

作者が漫画家の卵時代から現在までに描いた同人誌原稿や読切作品を集めた、樫風先生の短編集『ロンリーガールに花束を 樫風短編集』を紹介します。どの作品も読み応えがあり、まさに百合の王道といった感じに仕上がっています。

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【作品紹介】

本短編集に収録されているのは、全部で12作品。

  • marking(2023年)
  • 結局そんなきみが好き(2023年)
  • ロンリーガールに逆らえない more!(描き下ろし)
  • 不器用な愛情(描き下ろし)
  • 知らない私も好きですか?
  • 私の白い薔薇
  • レンズ越しに鬼はいない
  • 花屋のあの人
  • お酒の味より甘いもの
  • 幼馴染のトロフィー
  • ふたりでひとつだから
  • ひとことラブレター

前半の4作品は『ロンリーガールに逆らえない』に出てくるキャラクターのその後を描いた作品で、後半の8作品は過去に百合姫以外の他誌および百合アンソロジーで描いた作品をまとめたものです。

【作品の見どころ】

『marking』は、彩花と空のその後を描いた作品です。
『結局そんなきみが好き』では、和奏と結菜のその後が描かれています。
『ロンリーガールに逆らえない more!』は、サブキャラクターのその後を、4コマ形式で描いている描き下ろし作品です。
『不器用な愛情』は、彩花と空のちょっとした日常を描いています。

アンソロジーに収録された作品は、ギャル同士の百合や姉妹同士の契り(スール)、幼馴染百合などが描かれています。

その中で、もっとも印象に残ったのはやはり『幼馴染のトロフィー』です。

ヒロインの柊流花は、高校1年生。家の裏に住んでいる、幼馴染で2歳上の神楽田凪に恋しています。

2年ぶりに顔を見た凪は、学校でファンクラブができるほどの王子様になっていて……。

学内ではとても人気があるのに、実は幼馴染が好きでというのは、百合に限らず恋愛者が好きな人にとっては王道パターンですね。

こうした王道者が好きな人には、もっともささる作品ではないでしょうか。

他の作品もハッピーエンドで終わる作品ばかりなので、あまり百合を見慣れていない人にもおすすめできる作品といえます。

【作品データ】
・作者:樫風
・出版社:一迅社
・刊行状況:全1巻