調査方法によって異なりますが、日本に在住しているLGBTQ+の割合は、約1割前後(9.7%)と言われています(出典:電通報)。1クラスが40人と仮定して、大体3~4人程度はいてもおかしくない計算です。
このように少しずつ可視化されつつある現代においても、同性愛や両性愛など異なる性指向を持っていることが理由で、生きづらさを抱える人が減っていないのが実際のところ。田舎を飛び出した16歳の少女と自堕落な作家が、出会いを通して生きづらさを解消していく物語こそ、作画:さきだ咲紀先生、原作:平坂読先生、構成:鈴木マナツ先生、キャラクター原案:U35先生による『〆切前には百合が捗る』です。
【作品紹介】
主人公は、とある事情で実家を飛び出した高校2年生の白川愛結。彼女は、中学2年生の時に同性が好きなことを自覚しました。
その時に、スマホで検索したのが「LGBT」という言葉。
学校の授業でそのテーマが取り上げられ、周囲の友達が「同性愛なんて普通だし、偏見はない」と言っているのを聞いて、安心してカミングアウトします。
しかし、翌日にはそのことがクラス中に知れ渡っていて、挙句の果てには気持ち悪いとまで言われたこと、両親に無理やり病院へ連れて行かれたことがキッカケで、家出をして東京に出てきました。
そこで待っていたのは、未成年ひとりでは仕事も何もできない現実。途方に暮れていると、警察に補導されてしまったのです。
従姉妹の白川京が引き取ると、事情を聞いた上である仕事を紹介します。
それは、人気作家・海老ヒカリ(海老原優佳理)の世話係兼監視役をすること。
愛結はびっくりしたものの、仕事や住居がないと困るのでその提案を了承。
普通に生きにくかったふたりの日常を描く、日常系ガールズラブコメディです。
【作品の見どころ】
本作の見どころは、ヒカリと愛結が恋に落ち、生活がうまく回りはじめる過程にあります。
ヒカリはとにかく自由奔放。仕上げないといけない原稿があるにも関わらず、サボってゲームをしたり釣りや旅行に出かけるなどやりたい放題。しかし、愛結は振り回されながらもその日常に幸せを感じます。
ヒカリはヒカリで、愛結との共同生活が突然はじまって、最初は混乱するものの、少しずつこれまでに感じたことのないような感情が芽生えはじめるのでした。
同性愛をカミングアウトしたことで社会から排斥された少女・愛結と、容姿・才能・家柄すべてに恵まれているのになぜか自堕落なヒカリ。ふたりの尊い関係は、どのように展開していくのか。
小説と合わせて読むと、より楽しめるでしょう。
【作品データ】
・作画:さきだ咲紀
・原作:平坂読
・構成:鈴木マナツ
・キャラクター原案:U35
・出版社:スクエア・エニックス(ガンガンONLINE)
※公式ページで、試し読みできます
・刊行状況:全4巻
※小説はGA文庫より全2巻