男女の心の内側にある繊細な気持ちを描いた短編集『まじわる中央感情線』

誰かと友達になったり恋したり、夢のために進んだりしていくうちに、葛藤を持った経験のある人も多いのではないでしょうか。人間は誰しも、そのような経験を経てだんだんと大人になっていきます。

そんな男女の心の内側を描いた短編集が、恋愛マンガで評価の高い作者でもある志村貴子先生の『まじわる中央感情線』。夢に向かって前進する少女たちの葛藤、あらゆる恋のときめきや奇跡の出会いがまとめられた一冊です。

【作品紹介】

志村貴子先生が2010年以降に発表した短編作品で、単行本未収録の9作品を収録しています。

  • 不機嫌ゲシュタルト
  • 太めの女
  • 朝歩く
  • 散る散る満ちる
  • 卒業
  • 転校
  • 隣人
  • 猫のことわり
  • まじわる中央感情線

このうち『不機嫌ゲシュタルト』と『猫のことわり』は、もともと『まじわる中央感情線』だったものを改題。巻末に『まじわる中央感情線』の描き下ろしを加えました。

【作品の見どころ】

本作の見どころは、色とりどりの魅力が描かれている点です。

『不機嫌ゲシュタルト』では、アイドルを目指す少女たちの葛藤と未来を、『卒業』と『転校』では、BLな男の子ふたりの心の動きを、繊細な筆致で描いています。

収録された9作の短編に描かれた男女は、全員不器用です。

その不器用な人たちの物語を読むたびに、ページをめくる幸福を感じます。

【作品データ】
・作者:志村貴子
・出版社:河出書房新社
・刊行状況:全1巻