紅 kure-nai 9 (ジャンプコミックス)

コミカライズ完結!王道アクション&ラブストーリー 『紅 kure-nai』

紅 kure-nai 9 (ジャンプコミックス) 【あらすじ】
幼いころに突然のテロで家族を失い、残忍な誘拐事件にも巻き込まれた不運な少年・紅 真九郎。ショックのあまり心が壊れかけた真九郎だったが、住み込みで古武術の修行に明け暮れたり、その家族と交流することで生きながらえることができた。やがて高校生となった彼は、自分の力を生かして「揉め事処理屋」として活動をはじめる。そんなある日、真九郎のもとを身なりの良い少女が依頼者として訪れた。その少女――紫を守ることが依頼の内容だったが……?

【みどころ】
『テニスの王子様』『To LOVEる -とらぶる-』続編が掲載されたり、7月から『貧乏神が!』のアニメ放映が決まっているなど人気作・メディアミックス作に恵まれているジャンプスクエア。『紅 kure-nai』も同名のライトノベルが原作となり、テレビアニメ・OVA化がされている作品だ。このほど本誌での連載が大団円で終了したのに合わせ、その魅力をレビューしておきたい。

ジャンルとしては格闘アクションにラブコメ要素を足した感じで、典型的なジャンプ漫画のイメージに近い。ただ読者層が週刊少年ジャンプより高めのためか、やや裏稼業に絡めて過激な表現が多め。また主人公が高校生、メインヒロインが7歳の少女ということもあり、一般的なラブコメ作品とはちょっと“愛情”の表現方法が異なっている。

なんと言っても本作最大の見どころは、この「トラウマを抱えた格闘少年」と「複雑な生い立ちでまっすぐ育った少女」が織りなす心の交流だろう。紫の護衛を引き受けた真九郎だったが、実はこれが一筋縄ではいかない依頼。というのも紫を執拗に狙っている者は、彼女自身の身内だったのだ。いくら常人離れした肉体を持っているといえ、真九郎のメンタルはまだ高校生。大富豪グループの争いに巻き込まれ苦戦を繰り返し、過去のトラウマも定期的にフラッシュバックしてくる。そんな時に彼を救ったのは、なんの力も持たない紫の、まっすぐな想いだった……。このように“守っていたはずの相手から自分が救われる”という展開は、まさしく王道ストーリー。小説の挿絵を務めた敏腕イラストレーター・山本ヤマトがそのままコミカライズの作画も担当し、漫画版ではより感動的なシーンに仕上がっている。

また、そんな根幹ストーリーを盛り上げる脇役キャラや世界観の設定もなかなか多彩で楽しい。「揉め事処理屋」として主人公の師匠にあたるキャラの圧倒的な強さ、それに幼なじみの天才ハッカーあり、刃物を持てば人格が変わるアサシン美少女あり、主人公に激しい愛情をぶつけてくる先輩(巨乳)あり……裏稼業に関しても「裏十三家」「崩月流甲一種第二級戦鬼」などと男子の心をくすぐるキーワード満載だ。

なんらかの事情で続編が出なくなった原作小説、キャラクターデザインや設定が大きく改変されてしまったテレビアニメなど、ファンからすれば賛否両論ある本作なのだが、漫画版はそうしたモヤモヤを吹き飛ばすように見事完結してくれた。とりわけ評価の高かった原作の1巻を忠実に、いやそれ以上のクオリティで再現した漫画版の2~3巻は必読と言ってもいい。王道少年漫画を美麗なイラストと共に楽しみたいなら、この『紅 kure-nai』が申し分ない選択肢になってくれるだろう。

【作品データ】
・原作:片山憲太郎
・作画:山本ヤマト
・脚本:子安秀明
・コンテ構成:降矢大輔
・出版社:集英社
・刊行状況:9巻まで(続刊)

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