いきなり負傷敗北&詐欺逮捕!それでも『無敗のふたり』

前回の『レッドブルー』(波切 敦)に続き、面白い格闘技漫画を紹介します。

講談社サイト「月マガ基地」と「月刊少年マガジン」で併行連載中の格闘技漫画が『無敗のふたり』(遠藤浩輝)です。タイトルだけ見ると「タイプの異なる2人のライバルストーリーか」とか、ちょっと捻って「才能ある若手と彼を見守りつつ別分野で活躍する恋人の話」なんて思いそうです。

主人公の三島ユタカ(みしま-)は格闘技で世界を目指すため、フリーでトレーナーを請け負う外山晃一郎(とやま こういちろう)にパートナーを申し込みます。で、もちろん断られます。しかも間近かに迫った新人王戦の決勝も「棄権しなさい」と言われる始末。

外山の予測通りにユタカは怪我して負けます。ここで「嫌な奴」と思って縁を切るような主人公ではないことは想像できますよね。さらにユタカの先輩と臨時で契約し、その先輩が外山の読み通りに勝利を収めたことで、外山の力量を認めたユタカは再度セコンドとなることを申し込みます。

が、外山は詐欺の容疑で逮捕されちゃいます。

「なんじゃそりゃ」と思うかもしれませんが、元々、性格も生活も破綻しかかっていましたし、柔道整復師として経営していた接骨院の経営も危なかったので、そうなる運命だったのでしょう。もっとも、いろいろあって外山は不起訴。しかし格闘技との縁を断とうとしていたところ、ユタカに「俺と一緒にアンタも強くなるんです」と口説かれて。それを受け入れたようです。女性への口説き文句は下手なユタカですが、男性にはモテそうです。

亡くなった父親から虐待を受けていたユタカだけでなく、外山も家族関係に何らかの問題を抱えているようなのですが、まだ明かされていません。外山の姪であり理学療法士、加えてなかなか美人の小美野サエ(おみの-)により、その辺りも徐々に語られるのでしょうか。

遠藤先生の格闘技漫画であれば、かつて講談社「イブニング」で連載されていた『オールラウンダー廻』があります。こちらは前述の「タイプの異なる2人のライバルストーリー」に、ラブストーリーをひと匙加えたような内容でした。掲載誌「イブニング」自体が2023年に休刊(実質廃刊)になっている中で2008~2016年に連載し、単行本が19巻も出ています。ここで王道っぽい作品を描いたことから、ちょっと変わった主人公として『無敗のふたり』につながったのかなと勝手に想像しています。

直近の連載ではユタカに近い立ち位置で手ごわいライバルとなりそうな葉山航(はやま わたる)が登場。その妹であり外見はカワイイ凪(なぎ)-それなりに格闘技をたしなんでいる-も絡んで、面白そうな展開になりそうです。早速、ユタカは航とスパーリングを行うのですが、いきなり苦戦。制限をいろいろつけたスパーリングで試合ではないとは言え『無敗のふたり』となって、初の負けになってしまうのか。そして主人公にサエと凪とで、ひと匙ラブストーリーになるのか。楽しみに見守っていきたいものです。

【作品データ】
作品:無敗のふたり
作者:遠藤浩輝
連載:講談社「月マガ基地」「月刊少年マガジン」連載中
刊行状況:1~2巻発売中、以下続刊

【作品データ】
作品:オールラウンダー廻
作者:遠藤浩輝
連載:講談社「イブニング」連載
刊行状況:全19巻発売中