ひょんなことからお受験をはじめることになった親子の物語『俺のお受験』

地方に住んでいる人の多くは、受験といえば高校受験や大学受験を連想するのではないでしょうか。同じ質問を都市部に住む人にすると、中学受験と答える親御さんもいれば、その下の小学校受験(いわゆるお受験)と答える人もいます。

お受験と聞くと「なにも幼いうちから」と思う人が大半です。しかし、奥沢清之先生の『俺のお受験』を一度でも読んでみると、小学校受験へのイメージが大きく変わるかもしれません。

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【作品紹介】

舞台は、大手出版社・壇講社。週刊誌「ジジツ」の編集者(契約社員)として働く、小谷宏平が本作の主人公です。

物語は主人公がお受験に関する取材のワンシーンからスタートします。

宏平自身は無名の大学を卒業したため、就職活動では苦戦。アルバイトで壇講社に入社し、長年雑用をこなした実績を認められて、やっと契約社員として編集者になったところです。

そのため、周囲の正社員たちがことあるごとに学歴自慢をしてくることには、いささか閉口気味。「明るく元気にのびのびと」と思っているくらいなので、お受験も否定的に見ています。

そんな彼にきた仕事が、小学校受験の取材記事。

いくつもの塾に断られるものの、なんとかアポが取れて取材に出向きます。

無事に取材を終えたものの、その育児観を変える大きな出来事が起きて……

本作は取材後に起きたある出来事をきっかけに、通称「親の受験」とも呼ばれる小学校受験に挑むこととなった、宏平親子の受験奮闘記です。

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【見どころ】

本作の見どころは、今までお受験に否定的だった宏平の価値観の変化にあります。

作内でも触れられているとおり、小学校受験が受験の低年齢化を招いており、小さい子供を無理やり受験させているイメージで語られているのは確かです。

しかし、英美先生は中学受験対策が手厚い、付属であれば大学までエスカレーター式であることなど、選択肢が豊富にあることをメリットを挙げます。

また、野球に例えて高校受験からであればチャンスは2回しかない一方、小学校受験からであればそのチャンスも2倍になると説きます。

これを読んでみてさまざまな考え方が持つ人がいるでしょう。

そのチャンスをつかむ(小学校受験に挑む)ためにお金がかかるのは確かですが、先生の指摘は理にかなっているともいえます。

それはさておき、ひょんなことから小学校受験に挑みはじめた宏平親子が、この先小学校受験ができるのかどうか楽しみです。

【作品データ】
作者:奥沢清之
出版社:講談社(モーニング・ツー)
コミックDAYSにて試し読みできます
刊行状況:既刊1巻(以下続刊)