いちごは夢のタワマンをゲットできるのか?『タワマンで不幸にならない方法』

従来のマンションよりも高層のマンション、一般的には20階以上の超高層マンションのことをタワーマンション(タワマン)と呼びます。いわゆるタワマンの購入価格は最低でも5,000万円なので、住むためには年収1,000万円以上が必要です。

景色が一望できることもあり、タワマンに住むのは多くの人の憧れ。しかし、女性でタワマンに住めるだけの年収を稼ごうと思ったら、稼ぎのいい男性に選ばれるか自ら稼ぐしか方法がないのが現状。その実際を描いたのが、田滝ききき先生の『タワマンで不幸にならない方法』です。

【あらすじ】

とある企業を舞台に展開する本作の主人公は、派遣社員の藤村いちごです。

彼女の夢はタワマンに住むこと。そのためにはどんな努力も惜しみません。近年では女性がお茶くみをする風潮はなくなったものの、男性社員にお茶を淹れたり、お菓子を差し出したりしているため、他の女性からの評判はすごぶる悪い有り様。

しかし、それもタワマンに住む男性をゲットするため。社内や合コンで夢を叶えてくれそうな男を見つけようとするものの、どうも訳ありな様子。

タワマンあるあるをこれでもかと詰め込んだ、痛快コメディです。

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【見どころ】

本作の見どころは、いちごがこれまでの人生で受けてきた抑圧が描かれている点にあります。

高校生の頃から成績は良かったのに、弟が男の子だからという理由だけで大学に行かせてもらえない、勉強しなくても稼げるようになった男を捕まえればいいというような前時代的な価値観を植えつけられて育っていくのです。

そんないちごは、安易に共感や同情を受け付けないところがあり、見方によっては「とんでもなくイタく嫌な女」ともいえるでしょう。

実際、せっかく捕まえたタワマン住みの男性が実はヒモで、持ち主の女性に「他人を当てにして夢を叶えようとして、それが叶わなかったら被害者ヅラするのは恥ずかしい」とやり込められる始末。

確かにぐうの音も出ないほどの正論なのですが、こうした社会の目が盛り込まれています。

果たして彼女は、自身の力でタワマンを手に入れるのか、男性を捕まえて夢を叶えるのか、今後が見ものです。

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【作品データ】
・作者:田滝ききき
・出版社:講談社
コミックDAYSで読めます
・刊行状況:既刊1巻