もうひとつの一目ボレ物語『ささやくように恋を唄う 公式コミックアンソロジー』

ささやくように恋を唄うのレビュー記事

数ある百合作品の中でも、純粋に一目ボレした女子高生を主人公にし、その絵柄の美しさも相まって根強いファンを獲得しているのが、竹嶋えく先生の『ささやくように恋を唄う』(通称『ささこい』)です。

2021年の第5回百合漫画総選挙で、恋愛部門・総合部門の第1位に輝いた本作は、他作品の作者の間でも根強いファンがいることでも知られています。そんな彼女たちがもうひとつの一目ボレを描いた作品が、今回ご紹介する『ささやくように恋を唄う公式コミックアンソロジー』です。竹嶋えく先生の原作は、2024年7月に総発行部数が100万部を突破しています(電子を含む)。

【あらすじ】

作者の故郷でもある、岡山県にある高校を舞台として展開する本作。主人公は、新入生・木野ひまりと先輩・朝凪依の2人です。

入学初日に行われた新入生歓迎会。ひまりは、SSGIRLSというガールズバンドの演奏を耳にしているところから物語がスタートします。

その際、ヴォーカルをしていた依に一目ボレ。ひまりは後日、気持ちを依にぶつけたのですが、依は恋心と勘違いしてしまいます。

一方の依も、ひまりの可愛さに一目ボレしたものの、それは恋ではないことに気づきました。それでも諦めたくなくて、本気でひまりを惚れさせようと決意。

そんなふたりの一目ボレからはじまった恋愛ストーリー。『ささやくように恋を唄う』ファンの先生が揃って、描いたもうひとつの『ささこい』が『ささやくように恋を唄う 公式コミックアンソロジー』です。

https://platform.twitter.com/widgets.js

【見どころ】

本作の見どころは、それぞれが別角度から描いたもうひとつの「一目ボレからはじまる物語」を、ふんだんに楽しめる点にあります。

本作のために集まった作家は、総勢15名。

  • あおのなち(カバー画・代表作『きみが死ぬまで恋をしたい』)
  • 金田陽介(イラスト・代表作『黒猫と魔女の教室』など)
  • 未幡(イラスト・代表作『私の百合はお仕事です!』)
  • ゆあま(代表作『君と綴るうたかた』)
  • 雪子(代表作『ふたりべや』など)
  • 青乃下(代表作『私の推しは悪役令嬢。』)
  • うたたね游(代表作『踊り場にスカートが鳴る』)
  • ネコ太郎(代表作『限界OLさんは悪役令嬢さまに仕えたい』)
  • 椋木ななつ(代表作『私に天使が舞い降りた!』)
  • 伊藤ハチ(代表作『月が綺麗ですね』など)
  • ゐぬゐ
  • シクシク(代表作『この世で一番素敵な終わり方』)
  • とりいしづく
  • 春花あや(代表作『少女たちの痕にくちづけを』)
  • 青椿トト

それぞれの解釈で描かれた『ささこい』を読めるのは、やはりアンソロジーならではの魅力ですね。

異世界転生モノあり、ひまりと百々花が所属する料理研究部でのひとコマあり。

主人公のひまりと依先輩はもちろん、橘香織と筒井真理、百々花と志帆の絡みなど、どのキャラクターも登場しているので、さまざまな一目ボレを楽しめる構成になっています。

ふだんから原作を読み続けている人も、初めての人も楽しめる作品ではないでしょうか。

https://platform.twitter.com/widgets.js

【作品データ】
・作者:あおのなち他、15名
・出版社:一迅社
・刊行状況:既刊1巻