落語への愛と業を描いた『昭和元禄落語心中』2025年にミュージカル上演決定!

『昭和元禄落語心中』レビュー記事はこちら

落語は約400年の歴史がある伝統芸能で、東京と大阪(上方)を合わせた落語家の人数は約1,000人です。まずは前座からはじまり、修行を重ねて二つ目となり(約3~5年)、真打へと昇進(二つ目から約10年)します。

落語マンガでも評価の高い作品のひとつ、雲田はるこ先生の『昭和元禄落語心中』は、2016年に第1期(与太郎放浪篇・八雲と助六篇)、2017年には第2期(助六再び篇)にてアニメ化。2018年にはNHKにてドラマ化され、大きな反響がありました。その本作が、2025年『ミュージカル 昭和元禄落語心中』というタイトルで、ミュージカル化されます。

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【あらすじ】

『昭和元禄落語心中』の舞台は、物語によって3つにわかれます。

●与太郎放浪篇(単行本1・2巻)

昭和50年頃。落語ブームが下火になり、テレビや漫才ブームが大きかった時代です。

主人公は、元チンピラ・強次。刑務所へ慰問に訪れた、八代目有楽亭八雲の落語「死神」を聞いて感動し、出所後はその足で寄せに出向いて弟子入りを志願します。

「弟子は取らない」と言っていた八雲でしたが、付き人として弟子入りを許され、ついた高座名は与太郎。

ともに暮らしている養女の小夏、自らの芸に取り入れようとしている彼女の実父・二代目有楽亭助六との因縁などに翻弄されながら、自らの芸を磨いていきます。

●八雲と助六篇(単行本2~5巻)

物語の舞台は、太平洋戦争前から昭和30年代のいわゆる落語黄金期と言われる時代です。

本篇での主役は、八雲と助六。真打になる前の後の八雲は菊比古、助六は初太郎と名乗っていました。

ふたりの性格は実に対照的です。強制的に入門させられ、落語が上達しないことに悩んでいた、繊細で陰のある菊比古。天才肌でメキメキと上達して、華のある落語家と呼ばれている、明朗快活な初太郎。

ふたりに焦点を当て、その生き様と因縁。みよ吉と助六の最期を描いています。

●助六再び篇(単行本5巻以降)

舞台は、昭和末期から平成初期。バブル景気が起こり、崩壊する直後あたりです。この頃は落語人気が完全に下火で、都内の寄席も少なくなるばかりか、話題といえばかつての名人の訃報といったところでしょうか。

芸を磨いた与太郎は真打昇進を果たし、小夏の実父の高座名を継いで三代目・有楽亭助六を名乗ることになりました。

お互いの身の上も大きく変化して、小夏は未婚で妊娠。師匠の八雲は病魔との戦いなど、課題は盛りだくさん。そんな中で、家族に憧れのあった八雲は小夏と結婚することを決意します。

小夏の子どもの誕生や落語保存活動をはじめた作家の出現など、身辺が大きく変化する中、八雲が一度は葬り去ろうとした落語の行く末が描かれます。

【ミュージカル】

ミュージカル版の『昭和元禄落語心中』は、来年・2025年に上演される予定です。

執筆現在(2024年9月15日)では、上演予定として下記のとおり決定しています。

  • 東京公演:東急シアターオーブ(2025年2~3月)
  • 大阪公演:フェスティバルホール(2025年3~4月)
  • 福岡公演:公演予定(日時・場所は未定)

現在、決まっているキャストは、下記のとおりです。

  • 初太郎(助六):山崎育三郎
  • みよ吉:明日海りお
  • 菊比古(八雲):古川雄大

まだ物語のストーリーなどは公表されていませんが、役名から見ると「八雲と助六篇」が中心となるのではないでしょうか。

山崎育三郎さんは、ドラマ版でも助六役をやっていたので、ミュージカルでどのような演技をされるのか、今から楽しみにしていようと思います。

現在は、まだ3名しかキャストがわからない状況ですが、出演者もかなり豪華なので開演が非常に待ち遠しいミュージカルといえます。

単行本でしっかり予習しておくと、より楽しめるでしょう。

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【作品データ】
・作者:雲田はるこ
・出版社:講談社
コミックDAYSにて試し読みできます
・刊行状況:全10巻