現代社会を生き抜く人たちの物語『路傍のフジイ〜偉大なる凡人からの便り〜』

誰かと比較してマウントを取ろうとする人、やたらと承認欲求を満たそうとする人、コスパばかりを追求しようとする人など、現代社会はストレスフル。意識しないようにしていても、知らぬ間にストレスに蝕まれることも珍しくありません。

普段は地味ながら、現代社会の価値観に抗うかっこいい大人を描いたマンガが、鍋倉夫先生の『路傍のフジイ〜偉大なる凡人からの便り〜』です。2023年10月の連載開始以来、固定ファンが多くついており、大きな話題を集めています。

【あらすじ】

本作の主人公は、一見冴えないように見える会社員の藤井。40代独身で総務係所属、毎日スーツを着て出勤する非正規雇用社員です。

職場では空気のような存在の藤井。仕事は真面目にこなす一方で、定時になればすぐに帰ります。職場の飲み会に声がかからないどころか、結婚式にも呼ばれたことがなく、変人扱いされる部類の人間です。

どちらかといえば、同僚・後輩から「ああはなりたくないな……」と陰で思われてそうでもあります。

しかし、藤井はコスパやマウント、承認欲求などといった現代社会の常識に抗い、あくまでもマイペース。誰もが認める美人の女性社員、陽キャの代表格のような社員がいるにも関わらず、なぜか視線に入ってしまうのです。

そんな藤井の生き方に、周囲が影響を受けるさまを描いています。

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【見どころ】

本作の見どころは、周囲の価値観にとらわれることなく、型破りかつ自由奔放に生きる藤井と、それに影響を受ける周囲のやり取りです。

たとえば、ある同僚は藤井を見て「ああはなりたくないな」と、どちらかといえば見下すような感じを持っていました。

しかし、深く付き合ってみて「本当につまらないのは自分自身では?」と思うようになります。これをきっかけに、藤井の良き理解者となったのです。

ところどころに現代社会の矛盾や問題点が織り込まれており、幸せとは何か、人生とは何かなど、さまざまな問いを投げかけられることで考えさせられます。

独特の絵柄も相まって、連載開始当初から固定ファンも多くついている作品です。

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【作品データ】
・作画:鍋倉夫
・出版社:小学館(ビッグコミックスピリッツ)
ビッコミで試し読みできます
・刊行状況:既刊3巻(以下、続刊)