40年前の日本はどうだった?『バブル・ザムライ』

小学館「ビッグコミック」で連載中の『バブル・ザムライ』(細野不二彦)が盛り上がりを見せています。

“バブル期”が、いつからいつまでを指すのかは見方によって分かれるようですが、1980年代の後半から1990年代の初めくらいのようです。つまり、もう40年くらい前になるんですよね。そんなバブル期の日本を舞台にした漫画が『バブル・ザムライ』です。

主人公の吉良武人(キラ タケト)は都内某所にあるらしき天神大学の建築科に通いつつ、アルバイトで私立探偵の助手として何でも屋(主にボディーガード)をしています。何かと言動におかしなところが多いのですが、自称“帰国子女”としてごまかしています。もっとも度胸は満点で独特な格闘術をマスターしていることから、荒事の対処はバッチリ。女子大生や官僚のボディーガードや、コミケでの現金の盗難事件も防ぐことができました。

一方で嗅覚が鋭すぎることから人混み(特に香水などの強い匂い)が苦手。また、日本の習慣や風習に疎いことから、何でもなさそうな場面で目立ってしまったり、受け答えで相手に違和感を与えてしまうこともしばしば。この辺りは、まだまだ主人公に謎がありそうです。

阪神タイガースが優勝し、任天堂のファミコンソフト「スーパーマリオブラザーズ」が発売されたことから、舞台となっているのが1985年と分かります。ここから5~6年もの間、日本は空前の好景気となるのですが、貧乏学生の武人はバブルの波に乗ることができるでしょうか。

まあ、少なくとも最初の事件で助けた女子大生には好感を持たれているようなので、ラブラブな展開…は無さそうなんですよね。と言うのも、武人自身がそっち方面に興味を持っていない様子なので。もったいない気もするのですが、その女子大生にはひと癖どころか、ふた癖、み癖ありそうなので、友達くらいに留めて置いた方が無難でしょう。

直近の連載では、第二次世界大戦で武人の父親(大日本帝国軍少尉)に救われたことから、武人に何かと目をかける不動産屋、と言うより、地上げ屋の梶原社長により、武人らが日本に密入国したらしきことが分かりました。ってことは武人の父親は戦後も現地に残った残留日本兵で、武人の母親はその地に住んでいた外国人女性なのでしょうか。まだまだ謎が多そうです。それどころか地上げに絡んで、とうとう死人も出ちゃいましたしね。

さて、バブル期の日本を舞台にしていることで、これまで書いてきた以外にも、ディスコ「マハラジャ」、ビニ本(当時のエロ本)、YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)、インベーダーゲーム、漫画『めぞん一刻』などなど、当時の懐かしい事象が山ほど登場します。まあ『懐かしい』と思えるのは中高年以上になってしまいそうですが、バブル期を知っている人も知らない人も楽しめる作品となっていますよ。

【作品データ】
作者:細野不二彦
連載:小学館「ビッグコミック」連載中
刊行状況:1~2巻発売中、以下続刊