惜しまれつつも2022年8月(9月号)に連載が終了した『ちはやふる』は、2008年から14年にわたって247話発表され、コミックスは全50巻。累計発行部数2,700万部超を記録する超人気作品です。
2011年~2019年にかけて3期アニメが放映され、2016年・2018年には広瀬すずさん主演で映画化。競技かるた人口の増加に貢献し、2020年には、作品名が冠された競技かるた大会「ちはやふる小倉山杯」が開催されるなど、大きな社会的影響をもたらした『ちはやふる』。待望の続編『ちはやふる plus きみがため』を紹介します。
【『ちはやふる plus きみがため』とは】
主人公は長良凛月(りつ)。母親が亡くなってからは、仕事が忙しい父親のかわりに小学生の妹・凛風(りか)の身の回りの面倒を見るなど、家族を中心に動いています。
『ちはやふる』の連載終了後、キャプテンになった花野菫を主人公にして描いた番外編『はなのいろは ちはやふる番外編』でも登場している、新入部員の高校1年生です。
千早たち3年生が卒業したすぐあとの、瑞沢高校競技かるた部が本作の舞台。上記で紹介した番外編では、4年連続全国大会出場を決めたところまでが描かれているので、さらにその後の話となります。
千早たち創設メンバーが卒業すると、A級は2年生の田丸翠だけ。B級も部長の筑波秋博と新入生の凛月だけとなり、一気に層が薄くなったかるた部。その中でも、キャプテンを中心に切磋琢磨し合って、強化を図っている最中です。
そんな中、凛月は目標を全国制覇において日々の部活に取り組みます。しかし、なかなかうまく行きません。
最初はちょっと浮いている雰囲気もあったものの、さまざまな出会いや彼の真摯な姿勢が周囲の人たちの、そして自分自身の心を突き動かしていく。
少し違った角度から、競技かるたを描いた物語です。
https://x.com/yuyu2000_0908/status/1740284168993685739
【作品の見どころ】
前作では千早や太一、新といった「かるた」でつながった者同士が織りなす、競技かるたへの情熱と強さがテーマにありました。
一方、今作では同じチームにいる仲間たちやサポートしてくれる先生や家族、読手・審判などにもスポットを当て、人としての「優しさ・愛すること」の大切さを中心に描かれている印象です。
実際、タイトルにも入っている「きみがため」で始まる札は、2つあります。
- きみがため 惜しからざりし命さへ 長くもがなと 思ひけるかな
- きみがため 春の野に出でて 若菜つむ 我が衣手に 雪はふりつつ
前者は「愛する人と結ばれたことで、自分の命も大切に感じられるようになった」という、純粋な愛情を表現した句です。
後者は、相手の幸せを願うために若菜を贈ったことから、大切な相手を想う心が詠われています。
この2つの句によって、主人公・凛月や彼の周辺にいる人たちがどのように動き、変わっていくのか、今後の展開が非常に楽しみな作品です。
https://x.com/nakaterun/status/1786715606080954704
【作品データ】
・作者:末次由紀
・出版社:講談社(BE・LOVE)
※「Palcy」「コミックDAYS」でも読めます
・刊行状況:既刊1巻