高校野球で春のセンバツもしくは夏の選手権に出場した選手、もしくは地区大会でベスト4以上の成績を残した選手、結果は残せなくても将来の指導者を目指す選手の大半は、大学進学または社会人に進んで野球を続けます。
しかし、大学は全国から猛者が集まってくる場所。特に都心にある大学であれば、レギュラーはおろか、ベンチ入りメンバーの座を勝ち取ることすら容易ではありません。そんな大学野球で這い上がろうとする大学生の戦いを描いた物語が、『4軍くん(仮)』です。本作は、上記リンクもしくはスマホアプリでも読めます。
やっとペン入れ終わった
人はなぜ締め切りが無いと怠けてしまうのか・・・ pic.twitter.com/uzLsoRcwTw— 末広光 (@gelatin_255) May 1, 2024
【『4軍くん(仮)』とは?】
主人公は萩島航平。都立高校出身の彼は、高校3年時に東東京大会でベスト4まで勝ち上がり、一躍「都立の星」と呼ばれるまでに、階段を駆け上がります。
引退後、受験勉強に励んでいた彼が大学で野球を続けるべく、選んだのは神宮球場でプレーできる都心6大学リーグ。都心6大学リーグとは、東京都内に本拠のある大学で構成されるリーグで、以下の6校が所属します。
- 聖橋大学
- 千代田大学
- 高田馬場大学
- 三田大学
- 池袋大学
- 本郷大学
池袋大学を第一志望として猛勉強に励み、その甲斐あって見事に現役合格します。
合格後はトレーニングに励み、迎えた入部初日。新入部員の実力を見るために、希望ポジション別に新入部員を集めたノックが行われました。
自信をもってノックに臨みましたが、練習終了後に待ち受けていたのは、まさかの4軍通告。その後、受験勉強中にできた彼女にもフラレてしまい、航平の大学野球は散々な形でスタートしていきました。
本作は、4軍通告にも負けず、下剋上で1軍を目指して這い上がっていく姿を描いた、大学野球物語です。
『4軍くん(仮)』という漫画を読み始めました。立教大学(作中の「池袋大学」)が舞台かな?と思って調べてみたらこんなインタビュー記事が!面白いマンガです🌟
◼︎髙木大成が今も忘れない六本木交差点封鎖。「あの時ほど慶應大野球部の歴史と伝統を感じたことはない」 https://t.co/Q8Ct5LTNOv pic.twitter.com/weXfQ0urty— 森 元行 (@yukitan0121) May 5, 2024
【作品の魅力】
『4軍くん(仮)』の、作品全体を読み通して感じた魅力は、4軍に属する部員たちの野球にかける情熱と日常とのギャップにあります。
意外に思われる方もいるかもしれませんが、大学野球は来る者拒まずで入部を希望すれば入部可能です。そのため大所帯になりやすく、下の方になればさまざまなタイプの部員がいるとのこと。
本作でも、合コンを楽しむ者もいれば、野球で目立つことを諦めて就職活動に精を出す部員もいます。
しかし、大学まで野球を続けるのは、かなりの野球好きでないとできないでしょう。
「3軍と4軍の入れ替え」「負けたら永久4軍」「2軍との入れ替え」などをかけた勝負となると、普段は諦めたフリをしている彼らの目つきも、闘志を帯びたそれに変わります。
作画を担当した末広先生の画力も高く、線をかすれさせた劇画のようなカットは迫力満点です。
4軍くん(仮)|第1話 かっこいい奴|ヤンジャン!|集英社公式・ジャンプ系青年マンガ誌アプリ https://t.co/MMAbBPxVpU
途中までしか読んでないけど(本誌紙)郁夫すごいな。この人の一人称が僕なのは育ちがいいから?— private (@TOWHUMVEE) May 1, 2024
エリートではない選手(主人公)が最下層からスタートして、持てる力を出し切って這い上がっていく姿は、格差社会といわれる今だからこそ、多くの読者の心に響くのではないでしょうか。
【作品データ】
・作画:末広光
・原作:森高夕次
・出版社:集英社(週刊ヤングジャンプ)
※ヤングジャンプのサイトにて第1話が試し読みできます
・刊行状況:既刊5巻