【祝2023プロ野球開幕】『MAJOR』と『MAJOR 2nd』の読み比べ

球技では、ゴルフについで競技人口が多いのが野球。野球といえばWBCでの熱闘が記憶に新しいですね。日本のプロ野球は、いよいよ3月30日より開幕。約半年間にわたる長い戦いがはじまりました。その他、高校野球も楽しみですね。

さて、野球マンガといえば親和性の高いジャンルのひとつで、さまざまな名作があります。その中でも長年にわたって連載されている、名作野球マンガ『MAJOR』と続編『MAJOR 2nd』の読み比べをしていきましょう。『MAJOR』は1994年より連載がスタート。2024年にはシリーズ通算30周年を迎えます。

【MAJORの作品テーマ】

『MAJOR』の主人公は茂野吾郎。プロ野球選手だった本田茂治の息子で、彼の死後母親になった星野桃子が茂野英毅と結婚後、茂野姓を名乗るようになりました。

物語は主人公の視点で描かれ、周囲の仲間や育ての両親たちの支え、強力なライバルとの出会いを経て、野球の技量を向上させるとともに人間的に成長する過程を描いた物語です。

【MAJOR 2ndの作品テーマ】

『MAJOR 2nd』の主人公は、茂野大吾です。前作の主人公でもある茂野吾郎の息子であり、戸籍上の祖父(義祖父)にあたる茂野英毅と、血縁関係のある祖父に本田茂治がいます。

息子も小学4年生から野球を選んだものの、父親が有名メジャーリーガーだったことによるプレッシャーに耐えられず、一旦は野球を辞めてしまった大吾。しかし、ある出来事によって野球の楽しさを思い出し、再び野球と向き合う決意をします。

風林中学に進学してからは野球部の主将に就任。女子が多い野球部ながら、仲間と手を携えながらチーム力向上をはかる過程を描く物語です。

【吾郎と大吾のキャプテンシーの違い】

シリーズ全体を通しての見どころは、ファーストシリーズでの主人公だった吾郎と2ndの主人公である大吾とのキャプテンシー(リーダーとしての統率力)の違いでしょう。

吾郎は情熱に突き動かされるタイプで、「海堂高校をこの手で倒したい」という理由で突如退学した後、野球部のない聖秀学院高校へ編入します。

しかし、夏大会の直前に江頭の陰謀によって足首靭帯断裂の重傷を負い、海堂学園との対戦を実現させるものの最終的には敗戦。勝つことはできませんでした。

その後は、対戦を熱望していたギブソンの言葉により、日本のプロ野球をスキップしてメジャー挑戦を実現させるなど、情熱で目標を実現させる吾郎の強さが描かれています。

一方、2ndの主人公である大吾は、父親と似ている部分もあるものの、繊細で傷つきやすい一面があるようです。そのため劣等感などもあり一時期野球から離れていますし、中学編でも光から自らの野球部を貶されたこと、他の部員とのちょっとした行き違いから過換気症候群にかかるなどちょっと神経質なところも見られます。

中学生なのでまだ甘いところも見られるものの、自身を含めて選手のことを細かく観察しようという姿勢が見られ、これから描かれる成長にも期待が持てそうです。

【おすすめしたい読者】

『MAJOR』については、強力なリーダーシップを持ちたい人におすすめします。強力なリーダーシップは、圧倒的な技量がないと持てないと思われがちです。確かに技量も必要ですが、それ以上に言葉の説得力も求められます。

吾郎がどうやってそういう力を身に着けていったかも含めて読むと、より楽しめるでしょう。

『MAJOR 2nd』は、繊細な性格の人がどう接すればいいかを知りたい人、主人公がどのようにして技術を身に着けてリーダーになれたのかを知りたい人におすすめです。

繊細な人にリーダーは無理と思われがちですが、だからこそ相手の気持ちを思いやることができるという利点もあります。

そういう視点で読み続けることで、より魅力のある作品と感じられるでしょう。

【MAJOR~作品データ】
作者:満田拓也
出版社:小学館
刊行状況:全78巻

【MAJOR 2nd~作品データ】
作者:満田拓也
出版社:小学館(週刊少年サンデー連載中)
刊行状況:既刊25巻