『永久機関シマエナガ─シマエナガとカラスさん─』のシマエナガは結構あざとい!

【あらすじ】
限定された地区にのみ住む生き物は多くいる。シマエナガもそのうちの一種で、北海道にしか生息していない。北海道以外に住むのはただのエナガである。
『永久機関シマエナガ─シマエナガとカラスさん─』(青春/角川書店)は、「カワイイ」を自覚したシマエナガと、案外どこででも生きていけるカラスの掛け合い4コマ漫画だ。

【みどころ】
小さな白い身体に小粒の真っ黒な瞳とくちばし。さらに首をかしげようものなら、それはもう「カワイイは正義」である。
そんなシマエナガは都会に行ったことがあるというカラスの話題に興味津々。かわいいからスカウトされたらどうしよう、などとまんざらでもない様子。
しかし鳥は生息域を出ると生きていけないものだとカラスに一刀両断されてしまったりする。

性別は明白にされていないが、BL好きなメジロが現れてはオタクネタを語ったり、カラスとシマエナガのカップリングに物申したりと、同人活動もしている作者の一面が垣間見れる回もある。
カラスはだいたい最後に突っ込むか納得する役目で落ち着いているが、シマエナガの猛烈なハイテンションに付き合うこともあり、それはそれでニマニマしてしまう。
やはりこれは暗にBL要素も含まれるのか?!

本作は北海道から出られないシマエナガと、都会を知っているカラスの4コマ漫画だが、都会に夢を抱きすぎなシマエナガと、カラス視点から見た都会の人間の行為の表現が面白い。
カラスは、人間がシマエナガの頭にフックを付けて歩いていた(キーホルダー)とか、背中を割いて棒を入れられていた(つまりペンケース)など、シマエナガが震え上がる現実を淡々と伝える。

どの回もシマエナガはかわいくカラスはクール。鳥の語り合いがこんなに面白いとは……そして豆知識も得られるのだから、読まないという手はない。
そしてまさかのラストシーンも必見である。

【作品データ】
・作者:青春
・出版社:角川書店
・刊行状況:全1巻