愛の形にはさまざまあります。異性に惹かれることもあれば、同性に惹かれることもあるでしょう。形はどうあっても、好きな人のことを想う気持ちはみんな一緒。不思議なことに、似たタイプの人より正反対なタイプに惹かれやすいようです。
そんなどうしようもなく惹かれ合う「女と女」5組(10人)について描いた物語として、『いてもたってもいられないの』や『かけおちガール』などを代表作に持つ、ばったん先生の『まばたき』を紹介します。
本作に収められているのは、5作の短編。
- アンテロースの休日
- みどりのなかのみずたまの
- 初夏の葬式
- さらば人間
- 人魚姫
巻末には、4作目の『さらば人間』のその後を描いた『さらば人間・After』が、特別描き下ろしとして入っています。
筆者が個人的に強く印象に残ったのは、最後の『人魚姫』です。
失恋中の内気な旅行者(ちえ)と旅先で出会った女の子(エリカ)が意気投合して、一緒に夜の街を散策するお話。
一生懸命恋すること、がんばることの大切さを思い起こしてくれます。
人魚姫のおはなし、よかったぁ😢😢 https://t.co/hMk9wjGnZP
— mizuki (@pippi06) March 1, 2021
ばったん先生は絵柄の可愛さもありますが、人間の心情を描くことがうまい作者です。
どの作品も感情移入ができ、恋した時の鼓動とほんのり赤くなる感じが、全体から伝わってきました。
きらきらが、ほんとにきらきらで、音が文字になって、言葉が文字になって、魂が文字になってた。そこに、色がみえる気がした。 https://t.co/aP2rkJzill
— 渡邊 明日香 (@a5uk4_official) March 4, 2021
トーチWebにて、一部作品をご覧いただけます。Webの方もぜひご覧ください。
【作品データ】
作者:ばったん
出版社:リイド社
刊行状況:全1巻