どうしようもなく惹かれ合う「女と女」の物語『まばたき』

愛の形にはさまざまあります。異性に惹かれることもあれば、同性に惹かれることもあるでしょう。形はどうあっても、好きな人のことを想う気持ちはみんな一緒。不思議なことに、似たタイプの人より正反対なタイプに惹かれやすいようです。

そんなどうしようもなく惹かれ合う「女と女」5組(10人)について描いた物語として、『いてもたってもいられないの』や『かけおちガール』などを代表作に持つ、ばったん先生の『まばたき』を紹介します。

本作に収められているのは、5作の短編。

  • アンテロースの休日
  • みどりのなかのみずたまの
  • 初夏の葬式
  • さらば人間
  • 人魚姫

巻末には、4作目の『さらば人間』のその後を描いた『さらば人間・After』が、特別描き下ろしとして入っています。

筆者が個人的に強く印象に残ったのは、最後の『人魚姫』です。

失恋中の内気な旅行者(ちえ)と旅先で出会った女の子(エリカ)が意気投合して、一緒に夜の街を散策するお話。

一生懸命恋すること、がんばることの大切さを思い起こしてくれます。

ばったん先生は絵柄の可愛さもありますが、人間の心情を描くことがうまい作者です。

どの作品も感情移入ができ、恋した時の鼓動とほんのり赤くなる感じが、全体から伝わってきました。

トーチWebにて、一部作品をご覧いただけます。Webの方もぜひご覧ください。

【作品データ】
作者:ばったん
出版社:リイド社
刊行状況:全1巻