『そのヲタク、元殺し屋。』で真のヲタク愛を見よ!

【あらすじ】
日本のオタク文化は世界中で認知され、浸透していると言えるだろう。オタクが主人公の漫画も多く、今回紹介するも『そのヲタク、元殺し屋。』同様だ。しかし、一般的に日本人のオタクを描いた作品が多い中、本作ではイタリアの殺し屋がオタク文化に触れて撃沈し、来日する。こういう作品はそう多くはないかも知れない。

【みどころ】
殺し屋の中でもトップと言われていたマルコが突然姿を消し、日本に在住しているという情報を受けたエージェントのビビアナが日本へと派遣される。しかし既に日本のオタク文化に触れ、腐女子と化していた彼女は、なかなかマルコを殺すことができない。

とあるきっかけでマルコとビビアナが遭遇し、オタク同士として意気投合する。成果を出せないビビアナを追って来た工作員のアンドレは、オタクではなかったが絵がめちゃウマだった。いつの間にか三人で同人誌を作ってイベントに出ようということになってしまう。

初めは敵同士だった三人が、日本に渡ってきてオタク文化に触れ、それを共通の趣味として仲間になっていくところは、なかなかに面白い。殺し屋を辞めたくなるほど日本の女児向けアニメに傾倒するマルコや、そのアニメのキャラクターを模してヤンキーを撃退するところなどは、オタクだけどカッコいいと思ってしまう。

「カワイイは正義」を地で行くこの作品は、殺し合うはずだった関係の人間の相関図まで変えてしまった。さすが同じ趣味を持つと変わるものだ。現実でも、外国人が日本のアニメに入れ込んでやってくることは多い。グッズの造形の深さや、アニメの内容の描写の細かさなど、日本のアニメならではの魅力に気付いたのだろう。日本人として嬉しくもある。

【作品データ】
・作者:Ko-dai
・出版社:角川書店
・刊行状況:1〜2巻(以下続刊)