【あらすじ】
満員電車で痴漢を疑われたサラリーマン・百地。誰かこの冤罪を証明してくれる人はいないかと探してみたところ、一人の女子高生が手を挙げる。
彼女は思考実験で解決すると言うのだが……?
【みどころ】
少女の名前は二科てすら。見た目は女子高生のようだが、話し方がやや古風である。
彼女は百地の窮地を見事救ってみせるが、ある日橋の欄干から川に飛び降りようとしているのを、偶然彼に発見され止められた。
しかし彼女は別に自殺をしようとしていたわけではなかったらしい。
そこから彼女の「机上空論学に基づく思考実験」の果ての実験の話を聞かされる。
面白いのはてすらは見た目は女子高生だが、中身はアラカンのおっさんだと告白することだ。
百地は女子高生と仲良くなれそうだと喜んだのも束の間、てすらが妄想癖のある残念な少女だと勘違いする。
そこで彼女が川に飛び込もうとしていた理由を「推理」ではなく「思考実験」しろと言われる。
彼女の言う「思考実験」とは、あくまで「机上の空論」を繰り広げるだけで、正解はあってもなくても構わないらしい。だから「推理」とは違うのだと言う。
百地がてすらと「思考実験」を繰り返すうちに、偶然さまざまな事件を解決することになっていくのは爽快だ。
てすらが思考実験担当で、百地が実証担当ということになる。
はじめに痴漢の冤罪をかけた女子高生、通称「痴漢バスター」嬢もてすらと繋がることになり、そこからも別の道筋が見えてきたりもする。
最終的に、てすらが何故橋から飛び降りようとしたのかという問題に7割程度正解した百地は、ある人物に引き合わされることになって──?
本作『仁科てすらは推理しない』は、シーズン2として『二科てすらは見つからない』という作品へと繋がっている。
そこでも繰り広げられる興味深い「思考実験」に、きっと読者も爽快感を覚えるだろう。
【作品データ】
・作者:PEACH-PIT
・出版社:講談社
・刊行状況:全1巻