同級生3人が織りなす関係に背徳感がいっぱいの百合物語『今日はカノジョがいないから』

同性との浮気・不倫は、友人関係なのか性的行為があるのか見分けがつきにくいですが、実際の相手が同性だったと知ったら、カミングアウトされていない限りショックなのは想像がつくでしょう。実際、相手が同性であっても異性であっても、背徳感のある行為であることは間違いありません。

「百合」という作品ジャンルにおいて、こうした浮気系は人気があるのも確かです。そこで今回は岩見樹代子先生の『今日はカノジョがいないから』について紹介します。

物語は、かわいいランジェリーに「だってあの時 君が可愛いって言ってくれれば きっとあたし悪いことしなかったのにね」という言い訳(自己正当化)からスタート。

主人公は、16歳の女子高生・朝比奈ゆに。彼女は、同性で同級生の夏目七瀬とナイショで付き合うヒミツの関係です。ただ、そのことは誰にも言っておらず、友だちの前ではお互いに苗字で呼び合い、手もつないでいません。

しかし、部活の友人たちとは手をつないだり、自分だけを見てくれなかったりなど不満があり、裏垢で時々不満をぶちまけています。その裏垢を見た同級生(瀧風羽子)と浮気のような関係になっていくというストーリーです。

私がおすすめしたいと思った理由は、描写のリアルさにあります。

服・ランジェリーのシワの描き込みは、まさに「乱れていたらああいう風になるよね」と思わせてくれるほどのリアルさ。

ゆにの感情を揺さぶる風羽子、七瀬に求めるばかりでどんどんこじらせていくゆに。そして、部活に一所懸命で何も知らないままの七瀬。この3人の心理描写・性描写も、女性を知らないと描けないものばかりで、読んでいるだけで背徳感を味わえるほどです。

浮気をテーマにしているので、評価はわかれるでしょう。ただ、ストーリーとしてはかなりリアル感もあるので、浮気というのを抜きにしても読む価値は十分にあります。

【作品データ】
・作者:岩見樹代子
・出版社:一迅社(百合姫コミックス)
・刊行状況:既刊2巻